2000年で世界一周!マイルドな気候を生む海水循環の「からくり」

地球温暖化が海水循環を止める?

「深海の科学」を聞くシリーズ 第1回(全3回)

こういう「深海本」を待っていた!

2007年3月、私は深海潜水船「しんかい6500」(海洋研究開発機構・JAMSTEC)に搭乗取材し、沖縄県石垣島沖の深海を見る機会をいただいた。潜航を終え、沖縄から東京へ戻る航空機内で、パイロットの「ただいま高度1万1000mを飛行中です」というアナウンスを聞き「そうか!」と思った。

人が航空機で達している「高度」の上限はおよそ1万1000m、一方、ごくわずかだが人が到達した地球の海の「下限」(マリアナ海溝チャレンジャー海淵)の深さも約1万1000mだ(チャレンジャー海淵の深さは日本の海上保安庁が約1万920mと計測)。我々人間にとって、宇宙は別として上も下も同じ約1万1000mの世界が活動圏だったのだ。

だが航空会社による航空機の運航フライト数は、年間約3万3000便(コロナ禍前の2019年。航空調査会社シリウムのデータによる)にのぼり、年間20億人近くが高度1万mの世界を体験している一方で、深海潜水船で水深1万mまで潜航した人はごくごくわずかだ。

海への理解は、地球のさまざまな現象や生命のありようの理解に通じるが、深海まで含めた「海の科学」を幅広く学べる入門書は驚くほど少ない。私が、『なぞとき 深海1万メートル——暗黒の「超深海」で起こっていること』(蒲生俊敬、窪川かおる共著、2021年3月、講談社刊)に飛びついたのは、こういう本の登場を待っていたからだった。

【写真】『なぞとき 深海1万メートル——暗黒の「超深海」で起こっていること』『なぞとき 深海1万メートル 暗黒の「超深海」で起こっていること』(撮影=村田克己・講談社写真部)

その『なぞとき 深海1万メートル』の著者のお二人に直接話を聞きたかったが、コロナ禍でままならず、やっとその機会を得ることができた。

まずは化学海洋学者の蒲生俊敬さんに聞いた。

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