意外に多い年収1000万円超、日本の大企業では男性従業員の3割

公開数字で推計を行ってみたら
野口 悠紀雄 プロフィール

統計では平均値しか分からない場合が多い

しかし、以上のデータは、必ずしも十分なものではない。その理由は、平均値だけしか分からない場合が多いことだ(国民生活基礎調査と民間給与実態調査では、分布図が示されている)。

性別、年齢別、業種別、企業規模別等のデータが示されていることもあるが、やはり平均値だ。全体の平均値よりは詳しいことが分かるが、依然として、はっきりしたことがわからない。

平均値だけでイメージを掴みにくい大きな理由は、所得や資産の分布は、平均値を中心にした左右対象形になっていないことだ。

身長や体重、あるいは学校の成績などは左右対象の分布になっていることが多い(これらは、「正規分布」と呼ばれる分布で表わされる)。このため、平均値とバラツキ(分散)が分かれば、自分が全体の中でどのような位置にあるかを、かなり正確に掴める。

ところが、所得や資産の分布は、「パレート分布」と呼ばれる分布に従う場合が多い。この分布では、少数ではあるが極めて高い所得や資産の人々がいる。

中間値という指標が示されることがある。全体の半分の人がこの値よりも低く、半分の人がこの辺よりも高い。

ただ、これを見ても、依然としてはっきりしないことが多い。したがって、分布そのものを見ることが必要だ。

図表1には、民間給与実態調査(国税庁)の結果を示す(2020年。男性)。

■図表1 男性従業員の年収分布(2020年、%)

資料:令和2年、民間給与実態調査(国税庁)
 

ここに示すように、所得の低い層に多くの人がいる。他方で、所得がかなり高い人が少数ながらいて、分布が右方向に長く伸びている。このため、平均値は、532.2万円と、普通の人が考えるよりは高い値になる。平均値より所得が低い人が、全体の半数より多いのだ。

なお、この調査で 「給与」とは、給料・手当、賞与の合計だ。

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