綾子さんはお子さんの障害のことを周囲に打ち明けていたが、予想したのと全く違う反応が返ってきた。
「娘は知的な遅れはありません。そのせいか、周囲のお母さん方からは小さい頃は『気にしすぎ』『うちもそうだよ』『なんだ、普通じゃん。障害なんて嘘だ』と言われました。お母さん方に『大丈夫だよ』と言われたときは、『この話は終わりにして』という合図なんだと悟りました。
今は精神的に落ち着いているので、お母さん方がそう言うしかなかったことも理解できます。でも、当時は誰かにわかってほしくて『大丈夫』と言われれば言われるほど、ムキになって説明していました」

必要にせまられないのに障害を打ち明けることで、新たなトラブルを生むことになる。
「小学校にあがってからは、クラスでトラブルが起きると娘のせいにされ、毎週保護者会が開かれ、『うちの子の鉛筆の持ち方が悪いのは、〇〇ちゃんのせいだ』と娘のせいにされ、保護者会は私が泣いて謝るまで毎回終わりませんでした。先生も誰か一人のせいにしてしまえば、ラクですからね。
娘の障害のことは理解してくださる先生が一人いらっしゃって、毎日学校に迎えに行くと、娘の様子などを教えてくださいました。夫婦のことは心療内科の先生が親身になって、相談にのってくださいました。振り返ってみると、このお二方と話していれば十分だった気がします」
ママ友と安易に距離を詰めるのが危険な理由は、もう一つある。
「子どものことでもショックを受けますが、よそのご家庭が家族で遊びに行ったなんて聞くと、自分の夫のおかしさを改めて知ることになり、落ち込みます。余計な情報はいれない、これに尽きると思います」