2022.04.19
# ロシア # 中国

プーチンのロシア、習近平の中国、そして戦前日本の「意外な共通点」と「相違点」

ロシアによるウクライナへの侵攻がつづいています。

長い目で見ると今回の侵攻は、ロシアが「ポスト共産主義の時代への移行」を模索するなかで起きた出来事と言えるかもしれません。

ハロー、ユーラシア 21世紀「中華」圏の政治思想』(講談社)において、西洋近代の思想とは異なる「ユーラシア」のさまざまな思想を紹介した立教大学准教授の福嶋亮大さんが、20世紀=《実験の世紀》から今回の侵攻に至るまでの思想史的なうねりを描きます。

中国、ロシア、戦前日本の共通点や相違点も浮き彫りになり、侵攻について新たな視点が得られるはずです。

 

《実験の世紀》

政治史上の20世紀を私なりに一言で言い表せば《実験の世紀》ということになる。そして、その最大の実験室は疑いなくソヴィエト(「会議」「評議会」の意)である。フランス人研究者エレーヌ・カレール゠ダンコースが述べるように、「ソヴィエト連邦」とは土地の名前でも人間の名前でもなく、政治計画の名称そのものを冠した特異な国家であった(『未完のロシア』)。後にも先にも、このような国家は他にないだろう。

しかも、ソ連による共産主義革命の実験は、たんに統治の体制を変えるだけではなく、人間そのものを「ホモ・ソヴィエティクス」(ソ連型人間)という「新しい人間」に変革しようとする動機も含んでいた。ゆえに、革命の運動もロシア一地域では終わらず「地球」や「人類」のスケールにまで広がってゆく。

実際、革命を指導したレーニンやトロツキーの著作を読めば、彼らがグローバルなネットワーク思考の先駆者であったことがよく分かる。「歴史的行為の舞台は果てしなく広大なものとなり、地球は腹立たしいまでに小さなものとなりつつある。鉄道や電信線が、地球全体をまるで学習用地球儀のように、人工の網で包んだ」「歴史はせっかちになっている――われわれの思考よりもはるかにせっかちである」(トロツキー『文学と革命』)。

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