20代で初めて出産したのが想定外の三つ子男子。モンスター並みにやんちゃな男子3人をほぼワンオペで育てるという状況に、かつては育児ノイローゼと診断されるまで追いつめられたというのが、言葉がけコーチとして活躍する島谷留美さん。過酷で壮絶すぎる経験を経て編み出した言葉がけメソッドを伝えるカウンセリングやセミナーが、現在、悩める親御さんたちから絶大な支持を得ています。

この島谷式・言葉がけメソッドを初公開する著書『子どもに伝わる魔法の「ほめ方」「叱り方」〜モンスター三つ子男子の母ちゃんが見つけた』(講談社)から、子どものやる気を育てて親子の笑顔が増える魔法の言葉がけルールの一部をご紹介します。

赤ちゃん時代の三つ子とのお出かけは、人手があるときは、1人用ベビーカーとお下がりでいただいた双子用ベビーカーを駆使。ないときは、1人をおんぶ、2人はベビーカー。すれ違う見ず知らずのおばさまに「あらあら三つ子ちゃん、大変ねえ。大丈夫?」と声をかけられても、笑顔で会釈しつつ内心では「大丈夫じゃないです! 心配なら手伝ってください!」と叫びたい気分だった。 (写真提供:島谷留美)

暴行死事件は他人事ではなかった

「子どもはたくさん抱っこしましょう」
「声をいっぱいかけてあげましょう」
「ママはイライラしないで、ゆったりした気持ちで子どもと接しましょう」
育児書に書いてあるこんな言葉が、何ひとつ当てはまらなかったのが、私の三つ子男子育児でした。

幼児期に公園に遊びに連れ出せば3人は散り散りに走り出し、やりたい放題でケガをして、帰りには誰かが救急搬送されることもたびたび(3人とも頭には、その頃の縫い傷が残っています)。小学校に入るとやんちゃさがさらにエスカレートし、同級生や先生に迷惑をかけっぱなしの学級崩壊主犯格に。怒鳴っても、ときに手をあげることさえあっても言うことをきかないやんちゃ男子3人の子育てに、私の精神は崩壊寸前に……。今から考えると、手をあげるなんて絶対やってはいけないことなのですが、当時はそれくらい追いつめられていたのです。

 

2018年、愛知県豊田市で、泣き止まない三つ子次男を床にたたきつけて死なせてしまった母の事件が、虐待事件として報道されたとき、私は背筋が凍る思いでした。とても他人事とは思えなかったからです。歯車が何か1つでも狂っていたら、私自身が子どもを虐待していたかもしれないのです。

永遠に出られないのでは、と思えた長く暗いトンネルを抜け出せたのは、どんなに怒鳴っても、手をあげても、子どもを無理に変えることはできない、と気づいたからでした。親は一方的に上からコントロールする立場ではなく、答えは子ども自身が必ず持っている。そう信じて、言葉がけを変えることで、親子の関係やコミュニケーションが変わることに気づいたからです。