ドラマも「切り抜き動画」で観る…「倍速視聴派」Z世代の視聴実態

Z世代のコンテンツ視聴 前編
稲田 豊史 プロフィール

今の大学生はお金も時間もない

稲田 『映画を早送りで観る人たち』では、倍速視聴と10秒飛ばし習慣がここまで浸透した背景として、【1】映像作品の供給過多【2】現代人の多忙に端を発するコスパ(タイパ)志向【3】セリフですべてを説明する映像作品が増えたことを三本柱に掲げ、様々な人にヒアリングしました。その中で、ある大学生の言葉が印象的だったんです。「今の大学生は昔の大学生に比べてお金と時間がないんです」って。

出典:東京私大教連「私立大学新入生の家計負担調査 」※仕送り額は6月以降の平均
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ゆめめ そうなんですか?

稲田 たしかに、この30年間で大学生が親からもらえる「家賃を除いた生活費」は4分の1にまで減っています(2021年4月「私立大学新入生の家計負担調査」より)。だから生活のためにバイトをしなければいけない。ところが、彼らの親世代に比べて大学は出席に厳しくなり単位が取りにくい。就活のためのインターンやボランティア活動にも時間が取られる。そりゃあ倍速視聴でもしなきゃ、流行ってる作品を全部押さえられないですよ。

 

ゆめめ 私も普段お仕事の関係で大学生の方々と働くことがあるのですが、会社員である私と同じタイムスケジュール、同じ時間感覚で動いているんですよ。一緒に打ち合わせや業務をする場合1、2時間の稼働だったとしても、アイデアを考えたり調査を分析したりする考える系のインターンの場合、それ以外の時間も頭を回してないといけない。だから、大学生なのに日中ずっと仕事をしている感覚なんです。私が大学時代にやっていたインターンも、そんな感じでした。稲田さんが大学生の頃(1993〜97年)は、そうじゃなかったんですか?

稲田 私が標準的だったかどうかはわかりませんが、もっと暇で、ダラダラしていました(笑)。インターンという制度もなかったですし、もっと時間に余裕があって、牧歌的でしたね。たとえば本にしても、読まなきゃいけない本を読まなきゃというよりは、用もなく駅前の本屋にフラフラ入って、店内を長時間散策して、授業にも就活にも関係ない、特に世間で流行ってもいないけど、なんだか面白そうな本に偶然出合って、買って……みたいな精神的余裕はあったと思います。インターネットもほとんど普及していなかったですし。

こんなこと言われたら嫌な気持ちになるかもしれないんですけど、私たちの世代は、ゆめめさんや今の大学生くらいの人たちを見ていると、「忙しすぎて気の毒だなあ」って思うんですよ。

ゆめめ 学生の頃、「大学生は人生の夏休みだから」という表現は嘘だと思ってました(笑)。インターンに遊びにSNSにと忙しかったので、今の大学生たちも同じ気持ちだと思います。

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