TikTokは本屋の立ち読み
稲田 そもそもなんですけど、なんで切り抜き動画を見るんですか?
ゆめめ さっき、昔の大学生はもっと暇で、目的もなく本屋の展開を散策していたとおっしゃったじゃないですか。そこで偶然出合った本を「あ、これ面白そう!」と思って読んでみる。それにすごく近いかもしれません。
稲田 そうだ、一緒だ!
ゆめめ TikTokって目的があって見るんじゃなくて、暇なときなんとなくダラダラ見るアプリです。そこで切り抜き動画に偶然出合って、「なんだこのドラマは? 面白そう!」となる。
稲田 本屋で表紙を見て「何だ、この本は?」と気になって手に取って、中身をパラパラとめくって立ち読みするのと一緒ですね。TikTokで時間を溶かす若者を年長者は眉をひそめがちですけど(笑)、面白いものを探すためにダラダラとザッピングしているという意味では本屋と役割は同じ。対価は発生していませんし、多くの切り抜き動画は違法ですが(笑)。
ゆめめ そういえば、TikTokが自分たちでユーザーを分析した⽩書に「回遊」という言葉がありました。散策っぽいですよね。
稲田 NetflixやAmazonプライム・ビデオから「おすすめ」されるがままに次々とダラダラ観るのとは違うんですか。
ゆめめ 「何か観よう」と思って行くのがNetflixとアマプラ。TikTokは本当に何の目的もない時にアプリを開くので、違いますね。
稲田 なるほど。我々世代が本を買う行動に当てはめるなら、特定の本がピンポイントで欲しい時はAmazonでクリックするし、「何か面白い本がないかな」と思ったら本屋に行く。その違いに近いかもしれませんね。ただ現実的に、どうしても本屋の店内散策のほうがTikTokよりも文化的な歴史があるから、ある世代以上には褒められますよね。「文化的」ってなんだよ、という話ではありますが(笑)。
ゆめめ 確かに本屋での散策は「清い」イメージがあります(笑)。