「戦場の狂気」はこうして起こる…ロシア兵を「鬼畜」に変えた“集団心理”の危ない実態

これは本当に21世紀の光景なのか? キーウ近郊の町の惨状に全世界が震撼した。遺体を処理するウクライナの人々には静かな怒りと悲しみの影がよぎる。兵士が虐殺へと至る道のりをさぐった。

2%の「攻撃的人格者」

4月12日、ロシアのプーチン大統領は、同国東部の宇宙基地を訪問、記者会見を行った。もちろん、その間もウクライナには砲弾が撃ち込まれ、人々が殺されている。

「ウクライナに起きていることは悲劇だが、我々に選択肢がなかったのは明らかだ。特別軍事作戦は計画どおり進んでおり、今後も粛々と実行する」

悲劇という言葉を使っても、プーチンの表情には何の変化もない。ブチャの虐殺について問われても「フェイクだ」と平然としていた。

Photo by gettyimagesPhoto by gettyimages
 

人間同士が殺し合う極限状態、それが戦争だ。

普通の兵士なら敵とはいえ、人間を殺すことに強い抵抗を感じる。第二次大戦中、米軍のライフル銃兵は戦場で15~20%しか敵に向かって発砲していなかったという調査結果があるほどなのだ。

ところが軍隊の中でも2%の兵士は、特異な「攻撃的素因」を持つ。

彼らは後悔や自責の念を感じずに人を殺すことができ、戦闘体験にトラウマを感じない。普通の兵士ならば長引く戦闘で精神をやられて疲労困憊する時期になっても、平静を保っていられるという。まさにプーチンがそれにあたる。

関連記事