2022.04.21

プーチンがほくそ笑んだ…ロシア兵を「鬼畜」に変えた、戦争の狂気と冷酷な「心理作戦」

人間同士が殺し合う極限状態、それが戦争だ。

普通の兵士なら敵とはいえ、人間を殺すことに強い抵抗を感じるが、その兵士のうちの2%が特異な「攻撃的素因」を持ち、軍全体を残虐行為に走らせるという。

前編記事『「戦場の狂気」はこうして起こる…ロシア兵を「鬼畜」に変えた“集団心理”の危ない実態』では、第二次大戦のユダヤ人虐殺において、極度の抵抗感を示したナチスドイツ軍を例に、敵を人間として意識しないようにするためにいかにして心理的防衛策が取られていたのかを明かした。引き続き、本稿でも兵士が虐殺へと至る道のりを専門家の意見とともにさぐる。

真面目な人間ほど残虐に

戦場では敵との距離が近いほどストレスが強くなる。相手の表情が見える至近距離で撃ち殺すより、1km以上離れた戦車にロケット弾を撃ち込むほうが罪悪感を感じないという。多くの兵士は、自分が手を下した結果を見てしまうと強いストレスを感じるのだ。

「近年では最新軍事技術としてドローン攻撃などが取り入れられています。ですが、アフガン戦争でドローンを操縦した米兵にPTSDが続出したことがありました。

の理由は自分が安全な場所におり、モニターに映った敵がドローン攻撃で木っ端微塵になる映像を眺めていたためでした。また、後日確認のため録画を視聴し、ストレスが増大したという報告もあります」(軍事心理学が専門の同志社大学教授・余語氏)

今回ロシア軍がブチャの惨殺遺体の多くを放置したことは、ウクライナ側の「心を折る」ため意図的になされた疑いがある。虐殺という行為の後始末をウクライナ人に押しつけ、自分たちのストレスを軽減する一方、精神的ダメージを与える悪魔の仕業に他ならない。

破壊されたブチャの街並(Photo by gettyimages)破壊されたブチャの街並(Photo by gettyimages)

実際、4月4日にブチャ現地を視察したウクライナのゼレンスキー大統領は衝撃を隠せず、憔悴した表情を浮かべた。翌日には国連安保理のオンライン演説で怒りもあらわにロシアを非難したが、ブチャ視察以来、顔のやつれが目立つようになっている。そんな敵リーダーの様子に、プーチンはほくそ笑んでいるはずだ。

しかし、疑問を抱く人も多いだろう。非人道的な命令に、普通の兵士は従うのか?

心理学には「ミルグラム実験」といわれる事例がある。別名「アイヒマン実験」という。

ナチのユダヤ人絶滅計画の責任者だったアイヒマンは、素顔は実直な一官吏だったとされる。そんな人間が、冷酷無比な行為に手を染めうるものかを検証した実験だ。

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