アルツハイマー病は「治らない病気」ではなくなる…日本の最新薬でわかったスゴい治療法
『40代から「脳」はこうして壊れてゆく…最新の研究でわかった「認知症」驚きの新事実』では、人間の脳が認知症を発症するメカニズムに「脳内の老廃物」と呼ばれるタンパク質が深く関わっていることを専門家が解説した。
認知症になれば、二度と元の生活には戻れないというイメージがつきまとうが、悲観するのはまだ早い。なぜなら、治療薬の研究はいま猛スピードで進められているからだ。その最新の研究を追った。
副作用が少ない新薬
「現在、アルツハイマー型認知症の治療薬はアリセプト、レミニール、イクセロン、メマリーという4つが厚労省によって認可されています。とはいえ、これらはあくまで症状の緩和を目的とした対症療法薬です。症状の進行を遅らせることしかできません。
ところが、ここ数年でアルツハイマーを治すための新薬や治療法の研究が目覚ましい進歩をみせているのです」(アルツクリニック東京の新井平伊院長)
一度なってしまったらもう治らず、坂を転げ落ちるように認知機能が衰えていく―。アルツハイマー病には、そんな暗く重たいイメージがつきまとう。だが、いま、この瞬間にもアルツハイマー治療の研究は猛スピードで進んでいる。

その筆頭は、なんといっても日本の製薬会社大手のエーザイとアメリカのバイオジェンが共同開発している特効薬「レカネマブ」だ。
アルツハイマーはアミロイドβという老廃物が脳に溜まることで起きる。アミロイドβが集まり「老人斑」ができることで、脳に異常をきたしてしまうのだ。
「アミロイドβは脳内に蓄積されていく過程でプロトフィブリルと呼ばれる塊になっていきます。その塊がさらに巨大化することで、最終的に老人斑ができてしまう。
抗アミロイドβ薬であるレカネマブは、このプロトフィブリルに直接、働きかけます。薬の成分がプロトフィブリルにくっついて、目印の役割を果たしてくれる。そこに体内の免疫細胞が集まって、塊になったアミロイドβに総攻撃を仕掛けるのです」(おくむらメモリークリニックの奥村歩理事長)