2022.04.23

アルツハイマー病は「治らない病気」ではなくなる…日本の最新薬でわかったスゴい治療法

週刊現代 プロフィール

昨年11月、ハーバード大学医学部の教育病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院が「経鼻ワクチン」であるプロトリンの臨床試験を開始すると発表した。

プロトリンは免疫系を刺激する物質で、接種すると首と背中のリンパ節にある白血球が活性化する。その活発になった白血球が脳へ移動し、アルツハイマー発症前に老人斑を分解するというメカニズムだ。この研究が進めば、「鼻スプレーワクチン」でアルツハイマーから身を守る日がやってくるかもしれない。

薬やワクチンとはまったく違うアプローチで、アルツハイマー撃退法を研究するチームもある。

 

「これまで私が取材してきた中でも斬新だったのが、東北大学の下川宏明教授(国際医療福祉大学大学院副学長)が進める、超音波を利用した治療法です。これはヘアバンドのように専用の装置をこめかみにつけ、側頭部に超音波を左右交互に照射するものです。

脳の側面に特定の周波数の超音波を当てることで、細胞内に一酸化窒素合成酵素や血管内皮増殖因子が生成される。これらの物質は血流を増やしたり、新たに血液を作り出します。

アルツハイマーの原因はアミロイドβの蓄積だけではなく、脳の微小血管障害も一因だと考えられている。この超音波治療法によって脳内の血液循環が改善され、アルツハイマー撃退に繋がります」(緑氏)

光で脳のゴミを洗い流す

この超音波治療の魅力は、「低コスト」だ。

たとえば前出のアデュカヌマブを例にとると、1年間この薬を服用するだけでひとり600万円以上の費用がかかってしまう。その点、この装置は100万~200万円で製作できる。

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