大病院でなくても導入が可能で、さらにランニングコストも少ないので治療費も抑えられる。定期的にかかりつけ医の元へ行き、1時間だけ治療を受けて帰宅するという方法も不可能ではないだろう。
最後に東京大学が研究を進める、光触媒を利用した最新の治療法を紹介しよう。
これは、光によって脳のゴミを洗い流すという、まさしく画期的な研究だ。
「そもそも光触媒とは、光を吸収することで活性化し、他の物質に化学反応を引き起こす触媒のことです。日本がリードしてきた技術で、身の回りでも窓に使われている抗菌ガラスに利用されています。ガラスにコーティングされた触媒が光に当たって活性化し、抗菌作用が発生するのです。
私たちはこの光触媒を、アルツハイマー病の治療に流用しようと思いつきました。アミロイドβに反応する特殊な光触媒を入れ、光を当ててみました。すると光触媒が活性化してアミロイドβの凝集が止まったのです。それだけではなく、免疫細胞の働きも促されアミロイドβが消失しました」(研究メンバーの東京大学大学院・富田泰輔教授)
この研究が進めば、将来的には処方された薬を飲んで日光に当たれば、アルツハイマーに対抗できるという日がやってくるかもしれない。アルツハイマーと戦うための治療法は日進月歩している。諦めてはいけない。アルツハイマーは近い将来、「治る病気」になるのだ。
その一方で、アルツハイマー病にどんなに有効な薬を開発しても、普段服用している薬によっては、逆に発症が誘発されてしまう例もあるという。そんな薬のリストを『【最新版】認知症になりやすい「意外なクスリ」を実名公開する…!睡眠薬や、ぜんそく薬も』で明かす。
『週刊現代』2022年4月23日号より