桜前線も北海道まで至って、地方によっては若葉が眩しい季節になってきました。外で汗を流した日は、「キリッと冷えたオンザロック」か、「炭酸水にレモンと氷を浮かべて……」と冷たい飲み方が気持ちよさそうです。
しかし、焼酎本場の南国・鹿児島では、真夏でもお湯割りがいちばん好まれる、とか。お湯割りなら焼酎の味と香りを長く楽しめる、というその秘密を探りながます。
とはいえ、「飲み方は自由!」が魅力の焼酎、冷たい飲み方をおいしくするヒントも、あわせてご紹介します。
焼酎が先か? お湯が先か? それが問題だ
焼酎の醍醐味は、お湯割りにあります。九州以外の方に話すと驚かれますが、焼酎造りがさかんな鹿児島や熊本などでは、暑い真夏でもお湯割りの焼酎を飲みます。暑気払いのお湯割りは格別です。温めると雑味が抑えられ、旨さが引き立つのです。
25度の焼酎であれば、単にお湯と焼酎を1:1(5:5、この割り方を「ゴーゴー」と言います)で混ぜるだけです。しかし、愛飲家の間では、お湯が先か、焼酎が先かでよく議論になります。じつは、それで焼酎の味わいが異なるからです。
焼酎はアルコールが入っていて水より軽いので、まず焼酎を入れて後からお湯を入れるべきだという人がいます。焼酎と水が同じ温度であれば当然水が重たいので、先に焼酎を入れて後から水を加えるとよく混ざります。
これが、90℃のお湯と15℃の25度の焼酎のお湯割りとなると、じつは比重はほとんど変わらなくなります。では、お湯割りの場合、どちらから先に入れても同じなのでしょうか?

対流で、飲み頃温度が長続き
以下のグラフは、お湯が先、焼酎が先の場合のコップの中の上下の温度がどのように変わるかを見たものです。
冷たい焼酎を先に、お湯を後から入れると、コップの上は温かく、下は冷たい状態のままで、混ざり合うことはありません。
お湯を先に、焼酎を後から注ぐと、コップがまず温まるので対流が起き、上下の温度差がほとんどなくなります。また飲み頃の温度は40〜45℃くらいですので、飲み頃の温度が長続きする効果もあります。

参考:西谷尚道、本格焼酎&泡盛こだわりセミナー、平成16年9月2日、日本酒造組合中央会主催
以前は「ロクヨン」(焼酎6:お湯4)が主流でしたが、近年は比較的薄いのを好む人も増えつつあるようです。お湯を先に入れると、コップが熱をほどよく奪ってくれて、お湯の温度を下げることも期待できるので、お湯を先に入れる人が多いようです。これらの結果から考えると、焼酎をお湯割りで飲むときは、お湯を先に入れたほうが、よく混ざり飲み頃の温度にしやすいので良いということになるでしょう。