「子の親」がなりうる「恋愛のもっと先にある同志」

――桧山と亜季は特定の彼・彼女と言うわけではない、大人な関係にありました。

斎藤 本作の撮影に入る前に、ジェンダーバイアスについてのトレーニングや、リスペクトトレーニングを受けさせてもらいました。そこで気づいたのは、桧山は亜季からとても大きな影響を受けているということです。妊娠する前から、客観的なアドバイスをくれる亜季の存在は、桧山のなかでとても大きなものだったんです。性別を超えて、影響される存在というか、パートナーという言葉がとてもふさわしい関係だと思います。恋愛のもっと先にある同志とでも言うのかな……。

撮影/山本倫子
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上野 はい、桧山と亜季は、いいパートナーだと思います。そして、子どもができたことで、ふたりの関係性は大きく変化していきます。人にはそれぞれ、理想の自分やこう思われたい自分というのがあるものですが、それは一過性のものだと私は思っていて。ずっと一緒にいれば、いやな部分やダメな部分も出てくるし、それをひっくるめても、ずっと一緒にいて、助け合える相手こそが、本物のパートナーなのではないかと思うんです。

亜季は、桧山から妊娠したと聞かされて、「本当に私の子なの?」と、一部の男性が言いそうなことを言って、桧山を傷づけてしまいます。実感もわきません。でも、命を授かるということは、意図してできることではないですし、その命によって、ともに生きる覚悟が芽生えていくというのは面白いですよね。