コロナ禍によるテレワークの普及とともに急浮上した言葉「ワーケーション」。旅先や帰省先で働きながら(work)、休暇を取る(vacation)という、これまで日本ではほとんどなじみのなかった新しい働き方は、業務ツールのオンライン化により一気に身近なものとなった。そこで、せっかく足を運ぶなら、環境に配慮したホテルで過ごしたいというFRaU読者のために、ワーケーションにおすすめのエコフレンドリーなホテル6つを前後編に分けてご紹介。もちろん仕事を忘れてバカンスを楽しみたい人にとっても、最高の旅になるはず。
【前編】は、世界遺産に選ばれた大自然に佇むホテルから暮らすように旅ができるシティホテルをご紹介!▶︎「地球を想いながら仕事も旅も楽しむ。環境にやさしいホテルでワーケーション!」
「TRUNK(HOTEL)」(東京・渋谷)

「ENVIRONMENT(環境)」「LOCAL FIRST(ローカル優先主義)」「DIVERSITY(多様性)」「HEALTH(健康)」「CULTURE(文化)」の5つのテーマを軸にした社会貢献を推進する「TRUNK(HOTEL)」のコンセプトは、“ソーシャライジング”。自分らしく、無理せず等身大でありながら、社会的な目的を持って生活することを指し、ホテルを訪れることで「人のため、社会のために何かしたい」という思いを叶えられる仕組みづくりに力を入れている。


次々と新しい複合ビルが立ち並び、2027年に向けた都市再開発が止まらない渋谷。時代の最先端を走り続ける街の真ん中に佇むTRUNK(HOTEL)メインラウンジでは、東京カルチャーの拠点として、さまざまなクリエイターとコラボレートした展示イベントを実施。季節ごとにテーマの異なるアートワークに触れることができる。7月末まで開催予定の展示「Bug Hotel 自然との共存」は、ホテルからでたコルク栓や桜の木などの廃材、さらにはスタッフが回収したレンガやタイルなどさまざまな素材を集めて、自然の生態系を守る虫たちの住処「Bug Hotel」を表現。人が生きていくためには、虫や自然との共存が必要であるというメッセージが受け取れる。
会場となるメインラウンジは、すべての席にコンセントを配置。アートに触れながら、食事を楽しみながら、ときにはバータイムは音楽に身を委ねながら……東京カルチャーに根ざしたホテルならではのワーケーションスタイルを叶えてくれる。


部屋のグッズやアメニティは、TRUNK(HOTEL)のオリジナルのもの。部屋ばきは使い捨てスリッパではなく、靴の製造過程で発生する端材でつくったビーチサンダルを採用。エコ素材を使った歯ブラシとともに、持ち帰って自宅で長く使い続けられるよう、デザイン性も含め配慮されている。またティッシュカバーは渋谷区のアパレル工場からでる残革をアップサイクルしたもの。バスアメニティは、静岡・三島市にあるJAS承認牧場で栽培されたオーガニックハーブを原料とし、オーガニック認証を得た工場で製造するなど、ステイする中で自然と社会貢献につながる仕組みが完成されている。

結婚式場を併設するTRUNK(HOTEL)では、スタッフのアイデアから婚礼などで使用したあとの状態のいい花々をブーケにアレンジして500円で販売する「ソーシャライジングフラワーマーケット」を毎週月曜にオープン。季節の花々やめずらしい品種が素敵にアレンジされたブーケが、たったのワンコインで手に入る。

また、この春発表したばかりの「ソーシャライジング」を体現したオリジナルラベルのナチュラルオレンジワイン「TINY BLUE TRUCK 2021(青い軽トラ2021)TRUNK(HOTEL) Limited Edition」は、広島県障害者総合支援施設栽培のぶどうを使用したナチュラルワインを扱う外苑前のレストラン「no.501」とのコラボ企画によるもの。広島の過疎化における支援や、障害者の社会参加に積極的にするなど、同店オーナーが取り組むプロジェクトにTRUNK(HOTEL)が共鳴したことで実現した。ラベルデザインには、滋賀県甲賀市にあるアート活動を中心とする福祉事業所「やまなみ工房」のアーティスト上土橋勇樹氏によるアウトサイダーアートを採用。ワインの売り上げの一部は「no.501」を通じて、障害者支援施設をはじめ、過疎化が進む地域の支援金として寄付するなど、社会課題に向け「ソーシャライジングホテル」としての役割と向き合いながら、新たな挑戦を続けている。