2022.05.03

全てのピースがハマった時、きっと涙する…名作SF漫画「ぼくの地球を守って」が投げかけたもの

子どもの頃、どんな少女マンガを読んでいましたか? クラスの中では、なかよし・りぼん・ちゃお・花とゆめなど派閥が分かれていたり、応募者全員サービスのグッズが欲しくて切手を送ったり、夏の増刊号の怖い話特集がトラウマになったり…。

そんな「懐かしい〜〜!」と思わず身悶えしてしまうような記憶が再び!

現代ビジネス少女マンガ部は第3弾がスタート。「なかよし」「ちゃお」に続き、平成期にマンガ誌「花とゆめ」に連載されていた懐かしの作品を毎週火曜日にリレー形式で紹介します。

無料試し読みもありますので、ぜひ当時のときめきを思い出してみてください。

現代ビジネス少女マンガ部では「学園アリス」の思い出や感想ツイートを大募集しています。Twitterのハッシュタグ「#現代ビジネス少女マンガ部」をチェック!

長きにわたり愛される「ぼく地球」の世界

第32回で取り上げるのは、1986年から1994年にかけて「花とゆめ」で連載された、「ぼくの地球を守って」。「早紀」シリーズ、「アクマくん」シリーズ、「記憶鮮明」シリーズ、「GLOBAL GARDEN」などを手掛けてきた日渡早紀さんの作品です。

(c)日渡早紀/白泉社

同じく1980年代よりスタートした「花とゆめ」作品を振り返ってみると…

・ツーリング・エクスプレス
・パズルゲーム☆はいすくーる
・ここはグリーン・ウッド
・笑う大天使(ミカエル)
・動物のお医者さん
・なんて素敵にジャパネスク

など、懐かしの名作がずらりと並んでいます。

「ぼく地球(タマ)」の愛称でファンから親しまれている「ぼくの地球を守って」は、単行本全21巻、文庫版全12巻が刊行。さらに、第2章「ボクを包む月の光 ─ぼく地球(タマ)次世代編─」(2003年~2015年)、第3章「ぼくは地球と歌う ─ぼく地球(タマ)次世代編II─」(2015年から連載中)が発表されるなど、長きにわたって愛され続けています。

あらすじを見てみましょう。

<亜梨子(ありす)は植物と交信する能力を持つ高校生。ある日、隣家のイタズラ小学生・輪(りん)を誤ってマンションのベランダから転落させてしまう。奇跡的に回復した輪は、もう一人の自分に覚醒していた…。一方、亜梨子は前世の夢を共有する同級生に出会い…!?>

 

蘇る前世の記憶

ヒロインの坂口亜梨子は北海道から東京に転校してきたばかりの高校1年生。植物の感情が解るという不思議な力を持っていますが、自然の乏しい都会になかなか馴染めません。また、マンションの隣人のいたずらっ子な小学生・小林輪に懐かれて振り回される日々…。

ある日、亜梨子は同級生の小椋迅八と錦織一成の会話を偶然立ち聞きしてしまいます。二人は同じ夢を共有しており、その夢のなかではそれぞれ全くの別人で、迅八は「玉蘭」という男性、一成は「槐」という女性として暮らしている。彼らは遠い宇宙の科学者であり、他の5人の仲間とともに“Z=KK101”と呼ばれる月の基地から“KK(地球)”を観察する使命があった。地球における各国のデータ、政治や自然…何から何まで記録しているのだと…。

(c)日渡早紀/白泉社

ところが興味津々で聞いていた亜梨子を見て輪は嫉妬に駆られ、口論の挙句、輪は誤ってマンションのベランダから転落してしまいます。奇跡的に軽傷で済んだものの、昏睡状態から目覚めた輪は“月基地”の記憶と超能力に覚醒していて――。

本作は、現代日本に転生した異星人としての前世の記憶を持つ7人の男女をめぐる物語。木蓮、紫苑、玉蘭、槐、秋海棠、繻子蘭、柊の生まれ変わりが明らかになっていく過程に読者は胸を躍らす一方、彼らが迎えたあまりにも悲しい結末に衝撃を受けます。また、前世の記憶と今生きる自分との乖離や葛藤。亜梨子自身、木蓮の生まれ変わりではないかと目されるも、覚醒することで「亜梨子」としての自分が失われるのではないかと一歩踏み出すことができません。

いまの自分は本当の自分ではないのではないか――連載が開始されるや少年少女の間で「前世の仲間探し」が大流行したことも特筆すべき点でしょう。

(c)日渡早紀/白泉社

本作で何と言っても圧倒的な人気を誇ったのは小林輪。彼は、“月基地”の7人がそれぞれ設定し、すべて入力することで現存する“月基地”を遠隔操作できるキィ・ワードをメンバーから聞き出そうと暗躍します。輪の正体は誰なのか、そしてその目的は…? 輪にもたらされるものが救済であってほしいと読者は切望したものです。

主人公たちの輪廻転生と複雑に絡み合う人間関係、そして恋愛模様。 なぜ、輪だけ子どもなのか。 なぜ、マンションから落ちたときに覚醒したのか、タイトル「ぼくの地球を守って」の意味…。 全てのピースがハマり伏線が回収されたとき、きっと涙するはずです。

(c)日渡早紀/白泉社

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