ロシア軍「凶悪ドローン」には大量の日本製品が使われていた

日本はプーチンの補給基地か?
部谷 直亮 プロフィール

その上で経産省側は「軍事転用の懸念が払しょくできず、ロシア向けには輸出許可が必要になる」と同社へ通知した。その後、斎藤製作所の側も輸出許可の取得は難しいと判断し、輸出を断念した。

また斎藤製作所はこれを機にロシアの代理店とも契約を解除し、「半年から一年近く前よりロシアとは一切の取引を行っておりません」と回答した。つまりロシア市場から撤退したのだ。Orlan10は他の企業製のエンジンも利用しているが、少なくとも斎藤製作所の決断により、ロシア軍はOrlanシリーズのエンジン供給源をひとつ失った。同社がもし撤退していなければ、ロシア軍のドローン戦力――中国に武装ドローンの供給を要請するほど困っている――は更に拡充されていたかもしれず、優れた決断だった。

あわせて斎藤製作所は、今回のロシア軍の侵攻に強い怒りを示すとともに、ポーランドの取引先を通じてウクライナ難民への支援物資提供も行っているという。同社はこうした取り組みについて公表していないが、もっと広く知られるべきだろう。この点は特に強調したい。

 

またロシア軍が今年本格的な配備を開始した自爆ドローンKUB-BLAからも、日本製バッテリーが発見されたとの指摘がSNSでなされている。

例えば上記はその代表例で、自爆ドローンから発見されたリチウムイオン電池だが、パナソニック製NCR18650Bであるとの指摘が相次いでいる。確かに見た目はそっくりだ。こうした自爆ドローンには安定的で強力なリポバッテリーが使用されることが多いが、何十本ものリチウムイオン電池を連結して使用するのは珍しい。

おそらくリチウムイオン電池は安価な上に寒さに強い――リポバッテリーの場合はヒーターが必要――ことが採用の理由だろう。またしても日本製品が使われていた可能性がある。

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