2022.04.29
# 本 # ロシア

プーチンが北方領土を「返還しない」どころか、そこで軍拡を進めている理由

「北極海航路」の行き着く先

ウクライナで戦闘を続ける一方で、ロシアは「北極圏」にも目を向けている。中でも「北極海航路」の重要性については、【前編】『プーチンが「北極圏」で進めている、激烈な「利権争奪戦」の知られざる実態』で解説した。

北極圏の情勢は、ロシアが北方領土を返還せずそこで軍拡を進めている理由とも密接に関わっている。日本人が知らない激烈なパワーゲームについて、引き続き解説していきたい。

 

北極海航路は「最初で最後の防衛線」

北極圏の重要性が増せば、「守るべきもの」も増え、そこに軍事力を集中させようとするのは、自然な動きであろう。そのため、ロシアのみならず、諸外国も北極圏の軍事基地を強化している。

中国も北極圏への軍事進出を目論み、2016年には中国鉱業・俊安グループが、デンマーク領グリーンランド(自治政府を持つ)にある旧米海軍基地施設を買収しようとしたが、デンマーク政府が阻止した。

なお、米国のドナルド・トランプ大統領も19年夏にグリーンランドを購入したいと主張したが、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相に即時拒否されたという経緯もあった。それほど、北極圏の軍事基地や土地は魅力的なのだ。

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相[Photo by gettyimages]

ロシアは軍事基地のみならず、極北仕様の新型兵器を北極圏につぎつぎと配備し、北極海の防衛を固め、米軍力の排除をめざしている。2021年1月1日には、北極圏防衛を任務とするロシアの北方艦隊が軍管区に格上げされ、北極圏に面するコミ共和国、アルハンゲリスク州、ムルマンスク州、ネネツ自治管区が北方艦隊の管区に移管された。北極圏の実効支配を確保し、NATOの艦船の進出を阻止する狙いがあるとされる。

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