2022.04.29

「日銀が国債を買うと、政府の借金が減る」という“残念すぎる勘違い”

考えれば「常識」のはずなのに…
週刊現代 プロフィール

まず、議論を単純化するため、海外の投資家などは国債を引き受けず、国内だけで国債を消化すると仮定する。このケースでは、日銀が「買いオペ」で市場から国債を買い取る場合、売り手は国債を保有している民間銀行などの金融機関となる。

では、民間銀行は何を原資に国債を購入したのか。それは当然、国民が銀行に預けていた預金だ。

「誰かの負債は誰かの資産」であり、A氏がB氏に100万円を貸せば、B氏にはA氏に対する100万円の「金銭債務」、A氏にはB氏に対する100万円の「金銭債権」が発生する。これと同様、政府が発行した国債の債権は、預金を通じて間接的に国民が保有している。

 

もし日銀が国債を500兆円購入することで、政府の借金のうち500兆円分が減少というなら、我々が政府に対して間接的に有していた約1000兆円の債権のうち、500兆円分の債権も消滅することになるのか。「誰かの負債は誰かの資産」という原則がある以上、そんなことはあり得ない。

消滅する可能性があるとすれば、それは国が500兆円分の課税を行うか、あるいは債権放棄を迫るかのいずれかだが、極めて非現実的であることは明らかだろう。

同時に「金利の支払いがない(か、あるいは極めて少ない)から借金を重ねても問題はない」という理屈も間違っている。

我々庶民が「金利がほぼゼロだから」といって、分不相応な住宅ローンを借りれば年収の範囲で返済できずに債務不履行に陥るのは自明の理であり、国の場合も同じだ。

このように身の丈レベルで考えれば当然の「常識」が、国家レベルの財政の話になると置き去りにされていく。なんともおかしな話である。

『週刊現代』2022年4月30日・5月7日号より

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