ベネッセアートサイト直島や瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸)の舞台となる「瀬戸内海国立公園」。アートと自然が共存する島々には、あるものを生かしていく知恵が息づいています。今回は、直島、豊島、男木島、女木島の4つの島をピックアップ。

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【直島】NAOSHIMA

ベネッセハウス、地中美術館、家プロジェクトなどが集まる場所であり、国内外の人も多く集うアートの聖地。

訪れるたびに変化していく、生きたアートに触れる

直島のポートに到着すると、海面に浮かぶように見えるオブジェ、建築家・藤本壮介氏による〈直島パヴィリオン〉が迎えてくれた。中にも入れるこのオブジェを堪能して、美術館とホテルを融合した、建築家・安藤忠雄氏設計の〈ベネッセハウス〉へ向かう。

1992年に設立されたこの施設の屋内外作品群は、年を経るごとに少しずつ姿を変えていく。私たち鑑賞する側も訪れるたびにその変化に触れることで、自らの心の移り変わりを感じ、振り返れるのだ。

Photo:FUJITSUKA Mitsumasa

同じく安藤氏設計で、クロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアの作品が恒久設置される〈地中美術館〉も、固定観念を取り払い、自身と自然の神秘について思いを巡らせるには最適の場所だ。

日本画家・千住博氏が手がけた、家プロジェクト〈石橋〉の襖絵、“崖”シリーズ。

少し歩き回りたくなったら、本村地区の〈家プロジェクト〉を巡ろう。昔ながらの景観を文化として残すため、アーティストらが作品化するプロジェクトで、1998年にスタート、現在7軒が展開される。なかでも、サステナブルな精神をもっとも体現しているのが、明治時代に製塩業で栄えていた石橋家の家屋を使った、千住博氏による〈石橋〉だろう。あえて銀泥を使って描かれ、ゆっくりと酸化していく襖絵からは、年月とともに作品自体が拡張していることがうかがえる。

歯科医院だった頃の外観を生かした大竹氏の〈はいしゃ“舌上夢/ボッコン覗”〉。

歯科医院兼住居だった建物を、大竹伸朗氏がコラージュ化した〈はいしゃ〉もユニークだ。

アートを媒介に環境を守り、地域の資源を生かしたツーリズムを通して、よりよく生きるためのアイディアを国内外へと発信してきた瀬戸内海の島々。そのきっかけとなったのが、ここ直島である。

2016年、直島港に完成した、日本人建築家ユニットSANAA設計の新ターミナル。 

かつては製錬所の煙害問題を抱え、島民の生活や環境を脅かしていた時代もあった。負の遺産から目を逸らさず、“在るものを生かし、無いものを創る”をモットーに、ベネッセアートサイト直島が地域の人々、アーティストとともにコミュニケーションを取りつづけてきた場所だからこそ、ここでしか体験できない旅を味わえるのだ。

ベネッセハウス屋外で海風を浴びる、大竹伸朗氏による〈シップヤード・ワークス 船尾と穴〉。

作品を巡っていると、制作過程を見守ってきたという島の住人が丁寧に解説してくれた。誇らしげに話すその姿に、アートも人と関わり、生きているのだと実感した。

家プロジェクト
香川県香川郡直島町本村地区
定休日:月(祝日の場合、翌日休館)
共通チケット:1050円、ワンサイトチケット420円(いずれも〈きんざ〉は除く)
☎087-892-3223(ベネッセハウス)

地中美術館
建物の大部分が地下にありながら、自然光が降り注ぐ美術館。
香川県香川郡直島町3449-1
営業時間:10:00~18:00
定休日:月(祝日の場合、翌日休館)
2100円
☎087-892-3755

ベネッセハウス ミュージアム
開館30周年を迎え、新ギャラリー〈ヴァレーギャラリー〉、〈杉本博司ギャラリー 時の回廊〉がオープンする。
香川県香川郡直島町琴弾地
営業時間:8:00~21:00
1300円*宿泊者無料
☎087-892-3223