戸建てからタワマンに買い替えた老夫婦の絶望。こんなタワマンはやばい

60歳からのマンション学(3)

タワマンの大規模修繕は困難

タワマンの大規模修繕は、おおよそ15~18年の周期といわれるが、これから首都圏では多くのタワマンで大規模修繕が予想される。

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一般的なマンションの大規模修繕の相場は国土交通省の「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、1回目は1戸当たり約100万円といわれるが、タワマンの場合はそれよりも高くなることが多い。たとえば次のような実例がある。

○エルザタワー55(埼玉県川口市)
1998年築、地上55階建て、高さ185m、総戸数650戸、1回目の大規模修繕費約12億円(1戸当たり185万円)
○センチュリーパークタワー(東京都中央区)
1999年築、地上54階建て、高さ180m、総戸数756戸、約17.7億円(1戸当たり231万円)
○ザ・ガーデンタワーズ(東京都江東区)
1997年築、地上39階建て、高さ134.3m、サンライズタワーとサンセットタワー2棟で構成、総戸数470戸、約8億円(1戸当たり170万円)

工事金額の総額が大きいため、長期修繕計画の試算が甘いと修繕積立金不足が起きやすい。特に物価上昇や消費税の増税を組み込めていなかった管理組合は、近年の工事費上昇についていけず、一時金の徴収や計画より遅い築20年前後で1回目の大規模修繕を実施するなどの対応をしている。

ただし、一般的なマンションの大規模修繕が10~15年周期に対して、タワマンは15~18年周期と後ろ延ばしが多く、1戸当たりは高くみえても実質的に安い場合もある。

こんなタワマンは要注意

私はタワマンすべてがダメとは思わないが、次の特徴があるタワマンはやめておいたほうが無難だ。

■細長いなど戸数が少ないタワマン
■デザイン性が高いなど歪な形状をしている
■戸数の割に維持費がかかるスパやプール、カラオケ施設などがある
■タワー式などの機械式駐車場があり、しかも空きが多い
■24時間有人管理でスタッフ数が多い

これらは金食いタワマンである。このように、タワマンと一言でいってもいろいろある。老後にババタワマンを引くと老後破産しかねないため注意したい。

■『60歳からのマンション学』には、大規模修繕、滞納金問題、空き駐車場問題、ペット問題…など、さまざまな事例をもとに安心できるためのヒントを探る。
事例1    一人暮らしになって分譲マンションから賃貸へ
事例2    夫婦二人になり、駅近マンションに買い替え
事例3    あわや負動産。バリアフリーマンションへの引っ越し
事例4    買い替えよりもフルリノベーションを選択
事例5    終の棲家として買ったはずの住居で思わぬトラブル
事例6    空き駐車場問題に理事長として奮闘
事例7    戸建てを売りタワマンを購入したものの……
事例8    大規模修繕のお金がない?!
おわりに マンションを終の棲家にする時の正解とは
  • 『成熟とともに限りある時を生きる』ドミニック・ローホー
  • 『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宣弘
  • 『志望校選びの参考書』矢野耕平
  • 『魚は数をかぞえられるか』バターワース
  • 『神々の復讐』中山茂大