試される米国FRB…積極的な「金融引き締め」は“景気後退への扉”を開くのか

バイデンの最優先は目先のインフレ抑制
安田 佐和子 プロフィール

失業率が示す景気後退までの距離

元FRB高官からも、同調する声が聞かれる。FRBで金融政策部長を務めグリーンスパン氏がFRB議長に就任した際、金融政策を指南したとされるヴィンセント・ラインハート氏は、年末までに景気後退りする確率を50%と予想。

NY地区連銀の前総裁でありゴールドマン・サックスでチーフエコノミストを務めたビル・ダドリー氏も、景気後退は「不可避」と語る。理由として、ウォール街が指摘するように金融政策の正常化に出遅れた分、Fedの積極的な引き締め策は“サーム・ルール”に該当する失業率の上昇を招くと考えるためだ。

サーム・ルールとは、FRBの元エコノミストであるクローディア・サーム氏が提唱したもので、失業率の3ヵ月平均と過去1年間での最低水準の差が0.5ポイント以上なら、1年以内に景気後退入りするとの説だ。以下、チャートをみると、0.5ポイントを上回るタイミングで景気後退入りしていることが分かる。

翻って、足元での数値はマイナス0.10ポイント。0.5ポイント超えまで距離があるようにみえるが、過去、景気後退前で最後にマイナスとなってから0.5ポイント超えまで、1980年以降、平均12ヵ月で、ちょうど約1年後ということになる。だからこそサーム氏も「1年以内の景気後退入り」のサインと銘打ったのだろう。

ちなみに最短はパンデミック下で20年2月に景気後退入りした時期で、わずか2ヵ月だった。コロナ禍を例外とすれば、最短は2001年3月のITバブル崩壊時で8ヵ月となる。

 

ダドリー氏が懸念するように、Fedの積極的な利上げへの警戒が金融市場を直撃し、ナスダックは4月26日に21年11月の高値から22%下落し名実共に弱気相場入りした。

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