「アジアンヒップホップのディズニー」目指す88rising

88risingはアジア系アーティストに特化した音楽レーベルであると同時に、アーティストマネジメントや映像制作なども行う広義のエンターテイメントカンパニーだ。2015年に前身となるマネージメント会社「CXSHXNLY(キャッシュ・オンリー)」を現CEOの日系アメリカ人ショーン・ミヤシロと中国系アメリカ人ジェイソン・マーが立ち上げ、2016年から「88rising」としてYouTubeに動画を投稿するようになる。

メジャーなレコード会社に頼らず、SNSやYouTubeなどのプラットフォームをオウンドメディアとして活用して人気や活動を広げる彼らの手法は、2010年代以降のエンターテイメント業界の特色でもある。今やレーベルの代表的なアーティストであるJojiやリッチ・ブライアンも、元々はYouTubeやインターネットミームから注目を受けていた。

ショーン・ミヤシロ自身が「目指すものはアジアンヒップホップのディズニー」と言っていたように、主にヒップホップとR&B系のジャンルに特化している。所属アーティストも、GENERATIONS from EXILE TRIBEを楽曲にフィーチャーしたこともある大阪出身でオーストラリア人と日本人のミックスのJoji 、インドネシア人ラッパーのリッチ・ブライアンやウォーレン・ヒュー、同じくインドネシア出身のR&BシンガーNiki、日本の新しい学校のリーダーズ、韓国人ソロシンガーのBIBIやSeori、I.O.I出身のチョンハ、GOT7のメンバーで香港出身のジャクソンなど、バラエティに富んでいる。

「歌い踊るセーラー服、青春日本代表」を称する新世代ダンス&ボーカルユニット、新しい学校のリーダーズの曲「Free Your Mind」のMV。
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今回のコーチェラのステージでは所属アーティストの他にレーベルからリリースをしている2NE1出身のCLと、「ショーンから出てよと言われたので出ることになった」という宇多田ヒカルが出演。CLのライブにはサプライズゲストとして元YGエンターテイメントの2NE1の完全体が登場し、7年ぶりの復活パフォーマンスで現地とSNSを騒然とさせた。

BIBIのステージでは韓国の元祖フィメールラッパーであるユン・ミレとコラボ。ジャクソンはコーチェラでソロパフォーマンスをした初の香港出身アーティストとして気合の入ったステージで盛り上げた。

レーベルのステージではなく単独のアーティストとして出演予定だったJojiは、1週目は体調不良でキャンセルになってしまったが、2週目は予定の曲数からは減ったものの終始リラックスした表情でパフォーマンスし、美しくメロウな楽曲で観客の雰囲気を盛り上げていた。

今年のコーチェラでのJojiのステージ。

88risingの目指すものは最もメジャージャンルがロックからヒップホップになった2010年後半以降から現在に至るアメリカの音楽ジャンルの傾向にも合っていて、現在のアメリカ音楽業界でのアジア系アーティストの活躍に与えた影響は最も大きいと言えるのではないだろうか。