aespaのサプライズ出演の背景

もうひとつ、日本でも大きな話題になったのが、当初ラインナップには記載されていなかったSMエンターテイメント所属の女性グループaespaのメインステージへのサプライズ出演だろう。aespaはステージパフォーマンスとしては初披露となったファーストアルバム収録の楽曲「aenergy」、現在も韓国の音源チャートにチャートイン中の「NEXT LEVEL」「Savage」そして今後のアルバム収録予定という未発表曲「Life's Too Short」を披露した。

2019年にBLACKPINKがコーチェラに出演した時は、すでに楽曲がHOT100にもチャートインする規模の知名度と人気を受けていた。KPOPグループがチャートインすることは珍しくなくなっているアメリカビルボードチャートのビルボード200はアルバムチャートであり、CDなどのフィジカル販売の点数が高い。
そのため、全体的にはストリーミングでバラバラに聴かれる傾向が強くなった現代では円盤を購入するファンの多いアイドルはチャートインしやすい傾向にあるが、楽曲単位のHOT100の場合はアルバムチャートよりもチャートインが難しく、過去にチャートインしたことのあるKPOP関連のアーティストは2000年代前半にアメリカで活動していたストリーミング時代前のWONDER GIRLS、「江南スタイル」のPSY、女性ソロとしては初めてチャートインしたCL、HOT100でも1位常連となったBTSとBLACKPINK、そして昨年、英語曲「The Feels」でデビュー後初のチャートインを果たしたTWICEのみだ。

2019年のコーチェラでのBLACKPINKのステージ。
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aespaはまだHOT100のチャートイン経験はないが、ファーストアルバムの「Savage」はビルボード200の20位にチャートインしており、他にも出演の流れには納得がいく背景がある。。
コーチェラの出演アーティストは「今現在ホットなアーティスト」だけではなく「エマージングアーティスト(これから来そうなアーティスト)」が呼ばれるケースも多いこと、2019年までのアメリカ市場での成功を受けてKPOPアーティストが呼ばれやすい状況であること(中止になった2020のラインナップにもBIGBANGが入っていた)。また、フェスというさまざまな人が集まるイベントの特性上、コアなファンダムの規模は男性アイドルグループよりは小さいがよりジェネラルなリスナーを持つ傾向のある女性アイドルグループの方が呼ばれやすい可能性や、近年の欧米圏のフェスで指摘されている出演アーティストの男女比率のアンバランスさの解消という側面も考えられる。

コーチェラといえば規模の大きさのみならず、チケットも高額でセレブリティやヒップな人たちが多く参加する傾向にあり、色々な意味での「トレンド」が重視されるイベントとしても知られている。そのような場所でのアジア系アーティストの存在感が大きくなっているということは、多様性を受け入れることと同時にアジア系の音楽やパフォーマンスが「イケてるもの」とみなされるようになってきているという、アメリカ国内での一部のムードを反映しているのかもしれない。