「プーチンの側近」がオーナーを務める軍事会社「ワグネル」の知られざる現実

所属する戦闘要員は2000人

現地での戦闘のみならず、サイバー攻撃や破壊工作など数々の業務を請け負う「民間軍事会社」(PMC)。ロシアでは正規軍に加えて数々のPMCが活動し、現在ウクライナでも複数の会社が暗躍しているという。中でも最大規模を誇るのが、プーチンの側近が出資する「ワグネル」だ。プーチンの国家戦略を分析した書籍『ハイブリッド戦争』から、その知られざる実態について紹介しよう。

ロシア最大のPMC「ワグネル」

ロシアには多数のPMCがあるが、そのなかでも最大の規模を誇り、政府ときわめて緊密な関係にあるのが、『ハイブリッド戦争』プロローグで紹介した「プーチン大統領の料理長」エブゲニー・プリゴジンが出資する「ワグネル」である。

「プーチン大統領の料理長」と言われるエブゲニー・プリゴジン[Photo by gettyimages]
 

ワグネルは、複数の紛争でロシア軍や親ロシア系武装勢力とともに戦う準軍事組織であるが、特に、2014年以降のウクライナ危機やシリア内戦などでの暗躍はよく知られている。

ウクライナ危機の際には、実際にはロシア軍も動いていたものの、ロシア軍が活動している事実を隠蔽するためにワグネルが戦いに投入された。ウクライナ危機の死者のなかで、身元の特定がなされずにウクライナに葬られている身元不明戦士はワグネルないし他のPMCの戦闘要員の氷山の一角であり(PMCでは死に関する保障が一切ないからである)、相当数のPMC戦闘員が亡くなっているのはまちがいない(注1)。

また、シリアにも、ロシア正規軍が送り込まれる前からワグネルの戦闘員がかなりの役割を果たしていたと言われている。例えば、シリアでは2018年2月7日の衝突で、5~200人のロシア兵が殺害されたと報じられているが、ロシア外務省のザハロワ情報局長が「ロシア市民5人が犠牲になった可能性がある」と述べただけで、ロシア当局はシリアにおけるPMC戦闘員の活動を確認することを拒否している。

だが、このことは、実際には200人近いPMC戦闘員が犠牲になったことを意味しており、遺族の怒りを買っているという(注2)。

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