すっきりと何も出ていない台所。シンクや水切りかごはぴかぴか。清潔で使いやすいボウルやザルなどは片手で取り出せるよう配置されている。和食器、洋食器、グラス、カトラリーはどこに何があるかが一目でわかるよう棚に納まっている。

「使いきる。有元葉子の整理術」(有元葉子著 講談社刊)より
器を2列3列に入れるときは上に「空き」をもたせ、奥に何があるかわかるようにする。「使いきる。有元葉子の整理術」より

料理家 有元葉子さんの台所は、こんな風にいつでも気持ちよく料理できるようスタンバイされている。もしここがうちの台所ならもっと料理を楽しめるのではないか。どうしたら使いやすい台所になるのか。その答えが書いてある本を見つけた。

 

使いきる。有元葉子の整理術 衣・食・住・からだ・頭』には、有元葉子さんが快適な暮らしをおくるために実践されている知恵と習慣が書かれている。片づけ、整理整頓、収納、家事の進め方、掃除、完璧に思える有元流はどのような過程でそのやり方に行きついたのかがよくわかる。根底にあるのは、「気持ちよく生きるにはどうしたらいいか」だ。それには、物も汚れも情報もためずにスムーズに循環させることが大事だという。『使いきる。有元葉子の整理術 衣・食・住・からだ・頭』から心地よい暮らしの空間の作り方をご紹介したい。
 

「掃除と片づけは別物です」

有元家を目指したいと言いながら見回す我が家は有元家とは雲泥の差がある。筆記具やポケットティッシュやハンドクリームが押し込まれた引き出しやフォトフレームにたまったほこり。直して使うつもりの家電は何年もそのままになっている。有元家を目指したくても、ゴールが遠すぎてどこから手をつけたらよいのやら。だが、本の中で有元さんはこう話す。

片づいている空間を掃除するのはらくちん。「使い切る。有元葉子の整理術」より

「家がきれいじゃないから、とてもじゃないけど人を呼べない……と嘆く方たちには共通点があります。それは、『掃除』と『片付け』を一緒くたにしていることなんです。考えてみてください。机の上にたまっている書類を片づけたり、戸棚の中を整理整頓しながら、掃除機をかけたり、雑巾で拭いたりして掃除をするのは大仕事です。あるいは、片付いていない状態で掃除だけやろうとすると、そこいらじゅう全部拭くことになりますから、これはこれですごく大変です。いずれにしても効率が悪いし、掃除するのがおっくうになってしまう。でも逆に、『片付け』や『整理整頓』さえできていれば、掃除じたいはとてもラクなんですよ。それに片づいてさえいれば、ちょっとぐらい掃除をサボっても、家はきれいに見えるものです。『掃除』と『片づけ』を切り離して考えることから始めてください」