中国政府も警戒中…コロナ禍、ウクライナ危機の次に来る「食糧危機」の現実味

世界最大14億人の人口を抱え四苦八苦

ゼロコロナに固執する習近平政権

中国は4月30日から5月4日まで、メーデーの5連休が続いているが、多くの中国人が自宅で悶々と過ごしており、何とも晴れないGWだ。全国の観光産業などは書き入れ時だというのに、政府は「自宅で過ごすGW」を推奨しているため、中国経済の停滞は避けられない。

都市部では、「GWは5月いっぱい続くかもしれない」などというブラックジョークも飛び交っている。人口2200万人の首都・北京や、人口2500万人の最大の経済都市・上海など、少なくとも全国27都市で、「封城」(フェンチェン)と呼ぶロックダウンか、それに近い措置を取っているからだ。

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それもこれも、これだけ多くの中国人が反対しているのに、そして海外からは呆れた目で見られているのに、中国政府が「動態清零」(ドンタイチンリン=ダイナミック・ゼロ)と呼ぶゼロコロナ政策に固執しているせいである。習近平政権は、ゼロコロナを緩めるどころか、むしろ引き締めに躍起になっている。

 

習近平総書記は、連休前の4月29日午後、党中央政治局第38回集団学習会を招集した。集団学習会というのは、共産党のトップ25人が「中南海」(最高幹部の職住地)に一堂に会して、その時々の話題に合った専門家を招いて講話を聴くという不定期の会議だ。

先代の胡錦濤時代から行っていたものだが、習体制になって異なるのは、専門家の講話の後、習総書記の長い「重要講話」が続くことだ。専門家の講話は、むしろ「前座」にすぎない。もちろん専門家も、習近平政権の方針に100%追随している人たちだから、「引き立て役」の立場をよくわきまえている。

この日のテーマは、「法規範によるわが国の資本が導く健康の発展」。講演者は、習近平総書記が4月25日に訪問したばかりの中国人民大学の劉元春副学長だった。中国人民大学は、共産党が1949年に北京を「解放」して最初に創建した党立大学で、北京4大名門校の一角を占める。

その副学長には申し訳ないが、「前座」は省略して、この日の「高座」である習総書記の「重要講話」の一部を以下に訳出してみる。監督管理の重要性を説いた箇所だ。

「監督管理体制の機構制度改革を深化させ、法による監督管理、公正な監督管理、出だし部分の監督管理、精密な監督管理、科学的な監督管理を堅持するのだ。監督管理責任を全面的に実行し、監督管理方式のイノベーションを起こし、監督管理の至らない点を補修し、資本の監督管理能力と、監督管理システム現代化のレベルを引き上げるのだ。

法律法規が明らかでない場合は、『審査批准する者が監督管理し、主管する者が監督管理する』という原則に照らして、監督管理責任をしっかりさせるのだ。現場での監督管理を強化し、地方は現場の監督管理責任を全面的に実行し、監督管理を隅々まで確保していくのだ。

業界のコントロールと総合的なコントロールの分業協作機構制度を強化し、業界の監督管理と金融の監督管理、外資の監督管理、競争の監督管理、安全の監督管理など総合的な監督管理の協調連動を強化していくのだ」

以上である。この短いくだりだけで、「監督管理」という言葉が、計23回も出てくる。いまの習近平政権の監督管理の徹底ぶりが分かろうというものだ。

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さらに、3月からは「学査改」(シュエチャーガイ)と呼ぶ運動も始まった。これは「研究討議を学習し、問題を精査摘出し、進歩改善を高めていく」というもので、9514万中国共産党員の全員に、日々「二つの課題」が課せられている。

一つは、この日のような習近平総書記の「重要講話」を、手書きで全文書き取ること。もう一つは、「重要講話」に対する感想(どんな点に習総書記の偉大性を感じたかなど)を添えることだ。どちらも党の上長の「査読」を得ないといけない。

 

折りしも、GW連休の前日に、長文の「重要講話」が出たものだから、共産党員たちは連休返上で「学査改」に追われている。ただ「封城」で家に閉じ込められているだけではないのだ。

習近平総書記は、今年後半に開かれる第20回中国共産党大会で、異例の3期目続投を目指している。そのためには、「コロナに打ち勝った習近平体制」を演出する必要がある。そしてコロナに打ち勝つには、徹底した封じ込めが必要だというわけだ。何を封じ込めるかと言えば、「ウイルス+言論」である。「封城」と「学査改」は、ワンセットのようになっている。

ちなみに、中国に南接するベトナムの共産党も、2020年には強固なゼロコロナ政策を堅持していた。だが、昨年1月の第13回共産党大会で、グエン・フー・チョン(阮富仲)書記長が、やはり異例の3期目続投を果たすと、昨年から一転して「コロナとの共存」に切り替えた。そのため中国も、もしかしたら「秋までの我慢」なのかもしれない。

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