2022.05.05

「一流の研究は分野を超える」日本の若手研究者を奮い立たせる根岸英一さんの言葉

ノーベル賞受賞者が照らす次世代の若者たち

米パデュー大学特別教授(H.C. Brown Distinguished Professor of Chemistry)であった根岸英一先生は「根岸カップリング」で知られ、有機化学分野で多大な成果をおさめられたことで、ノーベル賞にも輝いた。

根岸先生は教育者としても次世代の研究者に惜しみない助言と激励を送り続ける方であった。昨年6月に亡くなるまで、海外の日本人若手研究者の活躍を自分のことのように喜び、目を細めていた先生の笑顔が今も胸に残っている。

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私と根岸先生との出会いがきっかけとなって2015年に設立した「優秀論文賞」も今年で7年目の開催となった。この記事では根岸先生が生前に私たち次世代の研究者に向けて話された研究発展への思いを今年の受賞者たちの成果やエピソードも交えながら紹介する。

 

若い研究者に光を

「優秀論文賞というのはいいですね。若い研究者が良い仕事をすることで、科学界全体が盛り上がる。一流の仕事をした若手研究者の発信は本当に大事です。そのためであればお手伝いしましょう」

優秀論文賞を設立したきっかけは根岸先生のこの一言だった。私は国際的競争の中で苦戦する日本科学に危機感を抱いていたので、根岸先生に相談するためにパデュー大学の先生の研究室を訪れていた。海外で活動する日本人研究者にも強固な組織が必要ではないかと考え、様々な提案をさせていただいた。

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