中国政府発表の「作られた経済指標」をいよいよ無視できなくなってきた理由

日本企業は幻想から目を覚ませ
朝香 豊 プロフィール

「3頭の馬車」も総崩れで

では、中国の住宅販売が1月~3月期で25.6%減少したとの公式発表は正しいのだろうか。ブルームバーグによると、中国の不動産ディベロッパー上位100社の売上は、前年同期比で1月が41%減、2月が47%減、3月が53%減で、平均すれば47%減である。

中国の住宅販売全体の中には、上位100社以外の売上もあるだろう。とはいえ、上位100社の売上よりはるかに良好な結果が出ることは考えられず、1月~3月期の落ち込みが25.6%にとどまることなど考えられない。つまりこの25.6%減自体が「作られた数字」である可能性は圧倒的に高い。

これにとどまらず、中国政府は1月~3月期の不動産開発投資が0.7%増えたというありえない数値まで計上している。販売も進まず、金融機関からの資金の取り込みも厳しく規制される中で、不動産開発企業がどうやって開発投資額を増やすことができるのだろうか。

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こうした例は中国の統計数字が信頼が置けないものであることを如実に示している。と同時に、中国経済を牽引する「3頭の馬車」のうちの1つである不動産投資が、全く期待できないこともわかるだろう。

中国への外国からの投資も、このような厳しいロックダウンを経験してしまっては、今後は全く期待できないだろう。場合によっては餓死するかもしれないようなリスクに自社の社員を晒すことに気付いた西側企業も多いはずだ。

そもそもロシアによるウクライナ侵攻を経験して、独裁国家のリスクの大きさを認識した西側企業は、同じ独裁国家である中国への投資も手控えるようになった。国際金融協会(IIF)によれば、3月に中国投資ポートフォリオから離脱した資金は175億ドル(約2.2兆円)に上り、「前例のない」水準となった。

外資の投資が手控えられれば、中国経済を牽引する「3頭の馬車」のうちの2頭目の輸出も、当然、先細りしていくことになる。中国の輸出には外資系企業の果たしている役割が極めて大きいからである。

「3頭の馬車」の3頭目、個人消費はどうだろうか。米調査会社IDCによると、中国の2022年1~3月期のスマートフォン出荷台数は前年同期比14.1%減の7420万台であり、4四半期連続の減少となった。

スマホの出荷台数は2016年の年間4億7650万台から減少トレンドに入っているが、2022年の1年間の出荷台数は3億台を切るかもしれないとまで言われている。仮にちょうど3億台になっとしても、6年間で37%の減少ということになる。

 

スマホの買い替えの手控えに顕著なように、中国の個人消費は年々弱ってきている。ちなみに人口が減少トレンドに入り、中国よりも経済が低迷しているはずの日本のスマホ出荷台数は、2021年に過去最高を記録している。

こうして見ると、中国の個人消費の弱さは異様であることがわかるだろう。1月~3月期小売売上高は前年同期比で3.6%増加したことになっているが、これまた全く信用できない数字なのは言うまでもない。

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