2022.05.08
# 不動産

4420万円の住宅ローンを組んだ「年収640万夫婦」が「破綻」を迎えてしまったワケ

齋藤 剛 プロフィール

このようなケースの場合、一般的には新築購入から1~2年の間に売却をかけると「ローンの残債+売却諸経費」よりも低い金額でしか売れないケースが多いなかで、幸いにも自宅付近には類似物件が少なく希少性が高い築浅戸建てということで「ローンの残債+売却諸経費」よりも30万円高く売却することができました。売却に出して2週間経過し見学は4組目で成約に至りました。

そして、奥様の「まったく新しい土地へ移動したい」という希望や一馬力になった収入面も考慮し佐々木家は新規一転、横浜市の中古戸建て2880万円を購入して再出発の門出を歩み始めたばかりです。

 

「借りすぎ」だったかも

さて、今回発生してしまった悲劇は、ある種の「不運」に起因するものであり、一見誰にも非がないように見えます。

しかし、下記3点についてはもう少し慎重に事を進めるべきであったと言えるでしょう。

(1)「融資金額が返済難易度の高い金額であった」

言い換えますと「借りることができる金額と安心して返せる金額は違う」ということです。

借りることができる金額は、勤務先業種や職種・年収・勤続年数・過去の金融取引履歴などをメインに審査金利()にて返済比率(**)を参考に推測できますが、将来の家族構成(お子様の数・教育費)や趣味、急な出費を要するトラブルなどは考慮されていない場合がほとんどです。

審査金利……金利が上昇した場合のことを考慮し実際に適用し始める金利よりも高い金利のこと(現在は3.5%~4%が多い)。
**返済比率……(住宅ローン月額返済額×12)÷年収にて計算された%のこと。審査金利での返済比率は金融機関や年収額により相違するが、20%~40%未満が上限。

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