今後、高齢者の割合が増えると税金も社会保険料も増えて、さらに子育てしにくくなることが予想されます。そして、さらに高齢者の割合が増えるというスパイラルに陥ります。1.36で出生率が下がり止まっている保証はありません。お隣の韓国では、日本よりも少子化が進み、出生率は0.84にまで低下しています。この数字を使ってさっきと同じシミュレーションをすると、人口1000人社会に陥るのは西暦2400年代になるのです。
日本では、これまでも少子化対策を打っているはずなのに、どうして成果が上がらなかったのでしょうか?
それは、「子育てが貨幣経済の外側にある」ということが大きな原因だと思います。誤解を恐れずに言うと、子育てというタダの労働が認識されないことで、女性が追い込まれているのです。
子育てする人の生産力はゼロ!?
少子化の問題は、さまざまな問題にリンクしています。年金問題もその一つです。
現在は1.9人の現役世代が1人の高齢者を支えていますが、30年後には1.3人が1人を支えることになり、「年金保険料が増える」「受給する年金が減る」という不安がつきまといます。ところが、さほど問題にならないという専門家もいます。
「たしかに、高齢者を支える現役世代の割合は減りますよ。だけど、女性の労働参加率を高めれば大丈夫ですよ」
あなたは、この言葉にうなずかなかったでしょうか?うなずいたなら、GDPしか考えない経済脳になっています。
彼らのいう労働参加率に、子どもを産み育てている主婦はカウントされません。GDPを生み出さない人は「働いていない」とみなされるのです。
もちろん、「女性の労働参加率を高める」という意味が、「活躍したくてもできない女性が活躍できる環境を作ろう」という話ならば、異論はありません。しかし、子育てを頑張っている主婦に「少子化だから労働参加してくださいね」と言っているのであれば、見当違いな話です。