2022.05.16
# ライフ

「子ども1人につき1500万円支給」がじつは合理的なワケ…イーロン・マスクも警鐘を鳴らす「少子化問題」解決策

田内 学 プロフィール

子育てという無償労働は、“経済”の世界では、価値が無いと見なされ、優先順位の低い活動として扱われています。そして、昔のように他の家族や地域社会に頼りにくくなった現代では、両親にのしかかる子育ての労力は確実に増えています。

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ここは思い切って、子育てに価格をつけるしか無さそうです。さもないと、価格でしか価値を測れない経済脳の人たちに舐められてしまいます。

少し前の調査ですが、家庭内育児活動を金銭換算したところ、約13兆円になるという試算が出ています(内閣府の平成17年版少子化社会白書)。ここから計算できる「子育ての価格」は年間57万円。3人育てていれば、171万円です。この金額を政府が給料として払い、GDPにカウントするくらいのことを考えるべきです。

同様に、働く親のために「育休の価格」をつける必要もあります。育休を取らせた会社には政府が補助金を出すのです。

女性の育休取得率が81.6%の一方で、男性はわずか12.7%。日本の会社には、男性が育休を取ろうものなら、「え、男なのに育休取るの?」という空気が存在します。結果として、女性を多く雇う会社にしわ寄せが行きます。周りの社員たちの仕事の負担が増えたり、一時的に社員を雇う必要があったりします。しかし、補助金があれば、負担が増えた社員たちにそのお金を支払うことができます。男女ともに育休を取りやすくなり、会社間の不公平感も是正されるはずです。

「なんで子育て世帯だけを優遇するんだ。子供が育たなくても自分は困らない。それよりも年金を増やしてくれよ」と主張する人もいるでしょう。

しかし、子どもが育たなくて困るのは、国民全員です。よく誤解される話ですが、老後の年金問題にしても、お金では根本的な解決は図れないのです。

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