2022.05.16
# ライフ

「子ども1人につき1500万円支給」がじつは合理的なワケ…イーロン・マスクも警鐘を鳴らす「少子化問題」解決策

田内 学 プロフィール

子ども一人につき1500万円、3人目には家を支給

では、いったいどれくらいの経済支援が妥当なのでしょうか。

先日、ひろゆき氏が「子ども1人生んだら1000万円支給」という提案をしていました。
*参考記事:「子ども1人生んだら1000万円支給」ひろゆきが少子化対策で"超大胆提言"を続ける深いワケ

ある自民党議員からは、子ども一人につき1500万円という案を考えているという話を聞いたこともあります。

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私も1500万円くらいが妥当だと思っています。先ほどの計算にもありましたが、子ども一人を育てるのに年間57万円相当の労働が発生しています。成人になるまでの18年だと1026万円になります。少なくともそれ以上の金額を支援した方がいいでしょう。

では、成人一人が生み出す価値はどれくらいでしょうか。金銭的な価値だけで測ることはできませんが、国庫に入るお金という観点で計算してみましょう。

現在、国民一人当たりが国庫に支払っている税金は約50万円。一方で、国庫から支払われている一人当たりの社会保障費は30万円程度です。つまり、差し引き20万円が国庫に収められているので、80年間で1600万円の収入になります。納める税金だけでなく、一生を通じて行う生産活動を考えれば計り知れない価値があることは明らかです。

以上のことから考えると、子ども一人につき1500万円くらいは支払ってもよさそうです。年間84万人の出生数をキープできたとして、12.6兆円の支出になりますが、実現可能な数字です。

昨年、野田聖子少子化担当大臣は、「人口減少を止め、V字回復するためには(子ども関連予算を)フランス並みに国内総生産(GDP)比3%は毎年必要だ」と発言しています。

現在、日本において子ども関連予算はGDP比1.65%。この中に含まれている児童手当の代わりに1500万円を支給すると、GDP比3.7%になります。3%よりも多少上回りますが、許容範囲ではないでしょうか。

さらに、子どもを3人育てている家庭には、思い切って家を支給するくらいのことをしたらどうでしょう。末っ子が小学校に上がる頃には、家も手狭になっています。経済対策で公共事業にお金を使うくらいなら、子育て世帯向けの家を建設すればいいんです。

支給は難しいとしても、一部を補助するくらいはできるはずです。

これらのこと全てを叶えても、年間20兆円にも及びません。税金や保険料から高齢者関係の社会保障費の80兆円が支払われていることを考えると、子育て支援に使うお金は高が知れています。繰り返しになりますが、どんなにお金を貯めていても、将来の社会を支える人が減れば、全体の生活はどんどん苦しくなっていきます。社会全体で子どもを育てる必要があります。対症療法ではなく根治療法を考えるべきです。

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