日本では、4000万人以上が何らかの慢性頭痛を持っているという。これは人口の3人にひとりという計算になる。病院を受診せず、市販薬でしのいでいる人も入れれば、もっと多い数字になるのかもしれない。

「さらにここ数年、マスク生活やテレワークが要因となる新たな頭痛も増えている」というのは、東京頭痛クリニックの丹羽潔医師だ。

また、女性の場合、生理痛などでついつい習慣化してしまう市販の鎮痛剤服用のせいで、逆に頭痛になりやすくなってしまうケースも。

最終回の3回目は、近年登場した片頭痛予防の新薬や上手な鎮痛剤との付き合い方、頭痛を軽減するヒントについて、話をうかがった。

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コロナ禍に増えた「マスク頭痛」

コロナで新しい生活スタイルが定着しつつある今、外出時のマスク、自宅でのテレワークが習慣化している人も多いだろう。実は、こうしたコロナ禍の環境変化による頭痛を訴える人が増えているという。

「長時間マスクをつけていることで、耳にかけているゴムが側頭筋や咬筋、胸鎖乳突筋に負荷をかけます。とくに女性の場合メイクがマスクにこすれることを嫌って大頬骨筋や小頬骨筋などの表情筋を使わなくなることで、顔が強張り、首コリに移行します。そのことが原因で、緊張型頭痛を呼び起こしてしまうことがあります。

また夏場もマスクを着用していると、熱中症へのリスクが高まり、熱中症による頭痛が起こる場合も。中等度以上の熱中症の症状として、片頭痛に似たズキズキした頭痛が起きるのです。暑い時期にマスクをしていて頭痛が起こったら、症状が悪化する前に水分をしっかり補給しましょう。

さらにマスク内では、自分が吐いた息をまたすぐに吸うことになるので、結果的に二酸化炭素を多く含む空気を吸い込むことになります。脳が二酸化炭素過多の状態になると、脳内の血管を強く拡張させてしまうため、片頭痛を起こす可能性も高まります

コロナ感染への不安などの心理的なストレスも加わって、マスク頭痛に悩む人は多いです。感染の心配がない屋外や、人との距離が十分に保てる場所では、1分でもいいのでマスクを外して深呼吸を行い、表情筋と咬筋を動かしましょう。二酸化炭素濃度も低下し、顔や首・肩の筋肉の緊張も緩和できます」(丹羽先生)

感染予防に欠かせないマスクだが、弊害も起きている。上手に使っていきたい。photone/iStock