2022.05.24
# ビジネス

コロナ禍で急成長するバーチャルオフィス「oVice」が「ちょっと不便で、エモい」納得の理由

2020年4月の1回目の緊急事態宣言からまる2年以上が経ち、テレワークは企業の間にすっかり定着した。一方で、長引くコロナ禍の中で、「リモート疲れ」「コミュニケーション不足」などテレワークの弊害が顕在化している。離職の増加につながるリスクも懸念されている。

その中で、オンラインのオフィスや交流スペース事業を展開する「oVice」が好調だ。ユーザー企業数は2千社近くに上り、一日あたり6万人もの人々がoViceのバーチャルオフィスに“出社”している(2022年3月現在)。

ZoomやTeamsなどのオンラインツールとoViceは何が異なるのか? なぜ、バーチャルなオフィス空間が支持を集めているのか? oVice株式会社 代表取締役 CEOのジョン・セーヒョン氏に聞いてみた。見えてきたのは、ポストコロナ時代の新しいオフィスの形だ。

取材・文/堀尾大悟

オンラインツールだけど本質は「オフラインツール」

この日、筆者が訪れたのは、oVice株式会社のオフィス……とはいっても、PC画面上の「バーチャルオフィス」だ。このラウンジスペースで、ジョン氏と筆者はアバターを介して会話している。

oViceのバーチャルオフィスはRPGのような2Dのデザインとなっており、社内の様子を俯瞰で眺めることができる。会議室でミーティングしている人、フリースペースにぽつんと佇んでいる人……このオフィス全体をオープンに見渡せる体験は、ZoomやTeamsなどのオンラインツールでは得られないものだ。

取材当日の様子
 

でも、普通に会話するだけなら、Zoomなどでも事は足りそうだ。このoViceの、他のオンラインツールとの決定的な違いは何だろうか?

その疑問に対してジョン氏は「機能面では、他のツールにあってoViceにないものはほとんどありませんよ」と言う。

「でも、oViceはオンラインツールでありながら、その本質は『オフラインツール』なんです。オフライン空間の価値を大事にし、再現していることが、他のオンラインツールとの差別化ポイントですね」

ジョン氏が言うように、oViceのバーチャル空間の中には、リアル空間で起こりうる現象が忠実に再現されている。たとえば、oVice上のアバターの一つひとつには「方向」を表す三角形のマークがついている。そのマークが指し示す方向に対して声が聞こえやすくなっているので、会話する際はアバターどうしが「向かい合う」必要がある。

また、アバターの周辺に大きな円が表示されるが、これはそのアバターの声が聞こえる「範囲」を示している。その円の中でアバターから離れると、相手の声も自然と遠ざかっていく。このように、oVice上ではオフライン世界にある「方向」「距離」などの概念が存在するので、まるで近くで話しかけて(話しかけられて)いるかのような温度感を味わえるのだ。

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