「夫の退職まで2年。家は築30年の一戸建てで、床がブカブカでかなり痛んでいる。夫は退職金で屋根や外壁の大幅リフォームすると言っているが、親の介護を見てきたので、この家をリフォームしても私たちが最期まで住めるのか不安である」
という相談であった。
この一戸建ては駅からバスで15分、バス停からさらに徒歩6分の場所の2階建ての建て売りであった。電鉄会社が開発した丘陵地で、道路から家へのアプローチは数段の階段である。夫は「苦労してやっとローンが終わったマイホームなのだから、多少お金をかけても徹底的に直して住み続けたい」という意見であった。
駅近のマンションを勧めた
妻のRさんは実母が大腿骨骨折で入院して車椅子生活になったとき、たった数段の階段で自宅に戻れず施設に入ることになったので「屋根や壁は直せても、階段はなくせないでしょ。大事な退職金を使ったら老後のお金はどうするの」と主張していた。
相談を受けた私は最寄り駅そばの中古マンションを調べた。郊外なのと各駅停車駅なので築10~20年程度の60㎡ぐらいの物件が手頃な値段であった。そこで、中古マンションの高齢者仕様のスケルトンリフォームを提案した。スケルトンリフォームというのは構造壁以外の壁を取り外し、断熱や配管をし直すリフォームである。