これだと業者お仕着せの間取りでなく、老後に向けた自分仕様にリフォームできる。退職までを準備期間とし、まず退職金で中古マンションをスケルトンリフォームし、その後自宅を売却し老後資金にする。建物は値段がつかないだろうから土地代と割り切って売却する。そんな提案をしたのだ。
夫のYさんはこの提案を「せっかく広い家なのに狭いマンションに住むなんてとんでもない。娘がいつ来てもいいように2階の部屋はそのままにしておきたい。自動車は手放せない。蔵書は老後の楽しみだ。老後、老後っていうけど、その時はバリアフリーにすれば良いだろ」と一蹴。庭付き一戸建ては「住宅すごろく」のゴールという考えなので、小さな中古マンションへの住み替えは転落=惨めと思ったようだ。
「20年後」を想像する
私はFP相談されればあれこれと考えていろいろ提案をするが、あくまで決めるのはご本人たちで、説得はしない。私がよかれと思って説得しても責任が取れないからだ。それにあくまで私の個人的意見で、もっと違った良いアイデアを持っている人がいるかも知れない。
ただ、ご本人たちには言わないが、この例の場合は「20年後」が何となく想像できた。もし、このまま自宅の大規模リフォーム(屋根、外壁、床、内装、設備など)をすると、夫の退職金の半分以上は消える。