快適になっても2階の娘さんの部屋は娘さんが出て行けば物置になる。2階に物干しなどなければ2階に行くのは年に数回。自動車に乗れるあいだはいいけど80歳になり乗れなくなったら、買い物も病院がよいも不便になる。手すりをつけなければならないほど足腰が弱くなればバスなど公共交通機関も使いづらい。タクシーを使わなくてはならないが年金生活は厳しいので外出は少なくなる。
そしていくらリフォームしても20年経てばいろいろと修繕や設備の買い替えが必要になる。直す費用がなければ家は朽ちてゆく。一番の問題は80歳になり、50年間で溜まった荷物を処分して引っ越しする気力、体力、財力がないということだ。
私の提案を聞いて、娘さんが「もうこの家に住むのは止めて」とお父さんを説得。「駅そばならいざという時に帰りやすいし、介護しやすい家に住んでくれれば私も楽」と言った。父親も娘にそう言われて納得したそうだ。父親が頑固に家に固執しつづけたら、きっと介護が必要になってから娘さんから恨まれただろう。
小さな家のメリット
老後の住まいはコンパクトな方がいい。大きな土地、広い家は修繕や日常的管理が大変で、草取りだって自分でできなければ人の手を借りなくてはならない。もしそういう家に住んでいたら、元気で気力のある60~70歳の間に次の子育て世代に安価で譲り、自分たちは徒歩圏で生活できる便利な場所の小さな家に引っ越そう。