低学歴国日本の本音――大学進学より大企業就職の方がトクなのか?

知識や能力を評価しないこの国の給与
野口 悠紀雄 プロフィール

大学進学より大企業就職のほうが生涯給与が多くなる

図1に示したデータだけから、「大学進学が生涯給与を増やす」という結論は得られない。なぜなら、日本では、給与は企業規模によって大きく異なるからだ。

賃金構造基本統計調査によれば、従業員1000人以上の企業の平均給与月額は37.6万円であり、従業員10~99人の企業の平均給与29.89万円の1.26倍だ。これは、先に見た大学卒と高校卒の生涯賃金の比率とほぼ同じだ。したがって、「小企業で働く大学卒よりも、大企業で働く高校卒のほうが給与が高い」ということがあり得るわけだ。

このことは、データによって確かめられる。図2には、従業員数1000人以上の企業の高校卒と、従業員10~99人の企業の大学卒の給与(きまって支給する現金給与額。月額)を示す。

図2 学歴別・年齢別賃金(その2:大企業と小企業、単位:1000円)

令和3年賃金構造基本統計調査のデータより筆者作成
 

59歳までのどの年齢でも前者の給与が高い。逆転できるのは、60歳になってからだ。その結果、大卒で小企業で働く人の生涯給与2億3110万円より、高卒で大企業で働く人の生涯給与2億3958万円の方が、848万円ほど高くなる。

したがって、「学歴より、大企業に就職することのほうが重要だ」ということになる。「日本では、大企業に就職することが、大学に進学するのと同じ経済的価値を持つ」と言ってもよい。

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