2022.05.18
# 企業・経営

トヨタが「過去最高益」でも、日本国内のムードが明るくならない理由

「円安の意味」は大きく変わった

トヨタ自動車が過去最高益を更新するなど、自動車産業の業績が好調に推移している。ここに円安が加われば、日本経済にとってかなりの追い風となりそうだが、国内世論はそうなっていない。円安が進めば景気が良くなるという、かつての「常識」が通用しなくなったのは、日本の産業構造が大きく様変わりしているからである。

円安による効果はこれから

トヨタ自動車の2022年3月期決算は、売上高が前期比26.9%増の31兆3795億円、最終利益は前期比26.9%増の2兆8501円と売上高、利益とも過去最高を更新した。国内では円安が大きな話題となっているので、トヨタの好決算は円安によるものと思っている人がいるかもしれないが、そうではない。

同社は3月決算であり、急ピッチで円安が進んだのも3月なので、為替の影響はほとんど受けていない。日産も前期の赤字から一転して黒字の決算だったが、自動車産業の業績が好調なのは、コロナ危機からの景気回復期待を背景に、各国で自動車販売が伸びたからである。同社における日本国内の販売台数は前年比マイナスとボロボロの状況だったが、日本以外の地域はすべて大幅な伸びとなっており、これが業績拡大に寄与した。

豊田章夫社長〔PHOTO〕Gettyimages
 

好決算は日本を除く諸外国での販売が好調だったことが主要因であり、為替の影響はこれから本格化する。円安が進んだことで、今期の業績はさらに拡大すると予想されており、同社は2023年3月期の売上高について5.2%増の33兆円を見込んでいる。

円安の追い風を受けて、自動車産業の業績がさらに拡大するのであれば、明るいムードに包まれていてもおかしくないが、国内の雰囲気は総じて暗い。その理由は日本の産業構造が大きく変化し、かつてのように円安が国内経済にメリットをもたらさなくなっているからである。

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