2022.05.21
# 就活

「没個性」と叩かれる黒のリクルートスーツ、かつては「流行の最先端」だった…!

多様化し、収れんする就活ファッション
難波 功士 プロフィール

余談ですが、同記事にて「就職戦線に向かう若き戦士のグッズ(役立つ兵器)」として「留守番電話&キャッチホン」「テレホンカード」「地下鉄一日乗車券」があげられており、「会社案内もビデオの時代」と各社の「ビーフレット(ビデオテープ版企業案内パンフレット)」が論評されている点なども時代を感じさせます。

当時の就職活動の様子を伝えるコンテンツとして、「就職戦線異状なし」(1991年)は見逃せません。主人公の大原(織田裕二)は、黒スーツを着て面接に臨みますが、同級生の毬子(仙道敦子)から「やだー、喪服で就職活動してるの!」とあきれられます。

この映画にも、4年生になる頃アパートのドアの前に、宅配業者によって積み上げられる会社案内の冊子、説明会参加者への豪華な手土産、内定者への贈り物(ロレックス、アルマーニのスーツ)、内定者に他社を回らせないための高級旅館での拘束などなど、時代が感じられるポイントが多々あります。

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逆に「黒スーツ」がおしゃれに

そんな狂騒の時期を経て、就職氷河期(1993年~)がやってきます。しかし、一気にリクルートファッションは黒一辺倒となったわけではありません。1998年6月24日付朝日新聞「スーツは紺?悩みも長引く 長期化する学生の就職戦線」には、「会場には三百人ほどの男女がいた。同じ大学の友人を探したが、だれもが紺のスーツ姿。見分けがつかなくなった」(津田塾大4年生)との声が残されています。

風向きが変わり始めたのは、2000年代に入ってからのようです。2002年4月19日号『週刊朝日』「リクルート女子大生、黒服「カラス族」増殖はなぜだ⁉」にて、伊勢丹新宿店婦人服担当マネージャーは「黒は数年前から人気です。去年は、紺、グレー、黒の比率が2・4・4でしたが、今年は紺が減って黒が5くらいに近いですね」と語り、「女子大生に抵抗はないかと聞くと、「若い人には喪服のイメージはありませんね。ファッショナブルな黒として選ばれています」」と返答されたとあります。

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