2022.05.21
# 就活

「没個性」と叩かれる黒のリクルートスーツ、かつては「流行の最先端」だった…!

多様化し、収れんする就活ファッション
難波 功士 プロフィール

黒い服を着ている人たちを、安易にカラスにたとえるのはどうかと思いますが、たしかに1980年代、DCブランドを中心に黒が多用され、最先端のファッションを身にまとう若い男女の「カラス族」が流行しました。その後も黒の人気は衰えず、海外のハイブランドが黒スーツをフィーチャーしたこともあって、黒のリクスー比率は上昇していきます(田中里尚『リクルートスーツの社会史』青土社、2019年参照)。

当初は学生主導で「黒リクスー化」がはかられた様子は、前出の『週刊朝日』記事からも読み取れます。

売り場を訪れる親子の間では、ファッショナブルだといって黒を選ぶ娘と、紺やグレーの安心感を主張する母親との間でけんかになることがあるそうだ。母親には「黒は派手」というイメージがあるようだが、最終的には、「冠婚葬祭にも使えるから」と、納得するという。

フォーマルな場での着回しまで考えると、まず一着目のスーツは黒。その傾向は大学の入学式を眺めていても感じます。新入生の出席者の多くは、そのまま就職活動を始めてもなんら不思議ではない恰好をしています。

Photo by iStock
 

あとこれは、私が半ば冗談で、かつ半ば本気で考えていることですが、今の大学生は物心ついた頃から、フジテレビのバラエティ番組「run for money 逃走中」(2004年~)が放送されており、それに熱中してきた世代です。

逃走者を追い詰める黒スーツ姿の「ハンター」たちは、その身体能力の高さもあって、子どもたちの憧れの存在でした。憧れが言い過ぎだとしても、少なくともダーティヒーローだったことはたしかです。「黒スーツ=デキる人」と刷り込まれて育った大学生たちが、黒リクスーに抵抗を感じないのも当然かもしれません。

SPONSORED