フィリピン大統領選、マルコス元大統領長男圧勝で懸念される「暗黒時代」回帰

国民の対立と分断が深刻化する可能性も

ボンボン陣営が「勝利宣言」

フィリピンの大統領選は5月9日に投票が行われ、選挙管理委員会の最終的な公式結果の発表はまだ時間がかかるものの、非公式集計で開票率98%の段階でマルコス元大統領の長男である元上院議員、フェルディナンド・マルコス・ジュニア(愛称ボンボン・マルコス)候補の当選が確実となった。

ボンボン候補の陣営は5月11日、「マルコス候補が第17代のフィリピン大統領に就任することになった」と勝利宣言し、同日の記者会見ではボンボン候補自身が「3100万人が国民の結束のために投票してくれた」と述べて、事実上の勝利を宣言した。

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そのうえで「当選が正式に決まればすぐに全力で取り組めるように準備しなければならない。私たちはすでに(閣僚)人事について話しをしている」として大統領就任に向けた準備を着々と進めていることを明らかにした。

主要野党の統一候補として与党が支持しドゥテルテ現大統領に反対する立場で政権交代を狙った副大統領のレニー・ロブレド候補は、ボンボン候補の約3100万票に対し1480万票と遠く及ばず、5月13日に支持者を前に敗北を受け入れるよう求め、自らの大統領選敗北を認めた。

次期大統領となり政権を担うボンボン候補は選挙キャンペーン期間中を通じて「ドゥテルテ政権の主要政策継続」という立場を明らかにしており、麻薬犯罪容疑者や反ドゥテルテ大統領の論陣を張るメディアへの弾圧など、強権的ともいえる方針が引き継がれる可能性が極めて高くなった。

 

一方で、マルコス元大統領の反政府市民や活動家、学生、メディアへの弾圧、統制という暗黒時代への回帰を警戒する一定年齢以上の国民、人権活動家、学生運動家などによる「反ボンボン」を訴える抗議集会やデモがマニラなどで始まっている。

さらに反ボンボンの立場をとる国民から出されたボンボン候補の「大統領立候補資格取り消しと無効宣言」という請願を選管が却下したことに対し、同様の申し立てが最高裁判所に提出されるなど、法廷闘争も始まろうとしている。

このように圧倒的多数の得票で当選を確実にしたボンボン候補だが、父・マルコス元大統領の影を懸念する国民との間で今後さらなる対立や分断が深化する可能性があり、新政権の運営に大きな影響を及ぼすことを心配する声もでている。

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