“10兆円”大学ファンドは日本の「大学変革」につながるか? 困難さも伴う、その行く末

“10兆円”大学ファンド

財政投融資を主な原資に10兆円の基金(ファンド)を設け、その運用益を政府の認定した大学に集中して配分、世界最高水準の研究成果が期待できる大学を育成しようとする国際卓越研究大学法案が、5月18日、参議院本会議で可決され、成立した。

日本の科学研究力の低下はかねて指摘されているところで、引用される頻度が高く「質が高い」とされる論文の数(トップ1%論文)は、90年代の世界4位から昨年は9位まで順番を下げた。英教育情報誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」が発表する世界大学ランキングトップ100に入る大学は、東京大学(35位)と京都大学(61位)の2校のみ。博士課程修了者のうち約3割が非正規雇用という将来性のなさが嫌われて、博士号取得者の数は減る一方だ。

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大学ファンドは、そんな状況を大きく変えようというもの。10兆円の運用は国立研究開発法人・科学技術振興機構(JST)が担い、投資委員会の運用管理のもと民間の資産運用機関に委託、年間3%の投資収益に長期物価上昇率1.38%を上乗せ、4.38%以上を目指す。その投資収益3000億円を国際卓越研究大学(5~7校を認定)に投入、世界に伍する大学を育成する。

コロナ対策で、米英独の企業がメッセンジャーRNAワクチンを開発する一方で、日本の企業が太刀打ちできなかったのは、ワクチン研究費の打ち止めによる研究中断の側面が大きかった。「コロナ敗戦」は、研究力の長期低落の象徴で、基礎研究を充実させ、それを社会的意義のある新たな価値を創造するシステムに繋げることが、喫緊の課題となっていた。

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