エンジニアやIT専門家だけではない
エンジニアやIT専門家のように専門技能で仕事を進める職務にとっては、もともとジョブ型の雇用形態のほうが望ましい。
それだけではない。一般には事務系と考えられる仕事についても、この形態が必要とされる場合が多い。
例えば、金融の仕事がそうだ。日本の金融機関では、定型的な事務作業をする場合が多く、とりわけ専門的な知識が必要とされることが少なかった。
しかし、先端的な金融業務は極めて専門性の高いものであり、ジョブ型雇用にあったものだ。
経営者も本来はジョブ型であるべきだ
それだけではない。実は、経営者も本来は専門的な職業だ。したがって専門的な訓練を受け、それを活用して、1つの組織に固定されることなく、様々な企業の経営を経験することができる。
アメリカでは、経営者は経営の専門家として様々な企業を渡り歩くのがむしろ普通になっている。
これは、雇用統計にも反映されている。アメリカの雇用統計には、製造業や流通業などと並んで、「経営者」という産業分類がある。「経営」は、どの産業にも必要とされる、独立した産業なのである。
それに対して、日本の経営者(オーナー経営者を除く大企業の経営者)は、その組織に長年いる人のことだ。そして、組織の出世の階段を上り、トップに上り詰めた人だ。
出世の階段を上るためには、特定の職務の専門家になるのではなく、ジェネラリストになることが必要と考えられていた。
このような人たちが、激変する世界の中で、新しいビジネスモデルを開拓できるかどうかは、大きな疑問だと言わざる得ない。
日本の電機メーカーが衰退したのは、2000年頃にビジネスモデルを選択を誤ったからだ。