2022.05.30

やっかいな尿酸結晶。細胞の中にまで入り込んだものは、どう処理してる?

疾患から身を守る細胞レベルのシステム

ビールの美味しい季節になってきました。しかし、気になるのは尿酸値。ビールなどに含まれるプリン体は、体内で分解され、最終的に尿酸となります。排泄されない尿酸は、体内に蓄積して結晶化しますが、その尿酸結晶によって起こる炎症が痛風です。

細胞内に入り込んだ尿酸結晶は、リソソームに運ばれますが、その針のように細く尖った結晶は、リソソームを傷つけてしまいます。傷ついたリソソームは、どのように処理されるのでしょうか? 気になる尿酸結晶をめぐる生体の細胞レベルの攻防を、そのしくみの発見者である吉森 保さんに解説してもらいました。

プリン体の最終分解物質「尿酸」

私たち生物(正確には真核生物)の細胞の中で起きる現象には、生命を守り維持する働きを担っているものがある。オートファジーという現象だ。このオートファジーが低下すると病態が悪化する疾患も、たくさん見つかっている。40代以降の男性に多くみられる痛風もそのひとつだ。

健康診断で「尿酸値が高いですね。ビールは控えてください」と言われたことがある人もいるだろう。血液中の尿酸の濃度が高くなると、高尿酸血症を発症する。尿酸は、プリン体という物質が肝臓で分解されてできる。プリン体は核酸の主成分で、体内で合成されているほか、食物からも体内に取り込まれている。

プリン体が分解されてできた尿酸は、尿や汗と一緒に体外に排泄されるのだが、ビールや魚卵などプリン体を多く含む食品をたくさん摂ったり、尿酸が排泄されにくくなったりすると、血液中に尿酸が増える。

そして溶解濃度を超えると、尿酸が結晶化してしまう。この尿酸結晶は関節に蓄積すると炎症を起こし、激しい痛みに襲われる。痛風だ。尿酸結晶は、腎障害や尿路結石の原因にもなる。

私たちは、この尿酸結晶によって損傷したオルガネラ(細胞小器官)の除去や、腎臓に蓄積した尿酸結晶による腎障害の悪化防止にオートファジーが関わっていることを見いだした。

【写真】尿酸の血液検査尿酸値は、通常、血液検査などで調べられる photo by gettyimages

この記事が発表される頃は、日に日に緑が濃くなり、ビールも美味しくなるだけに、尿酸が気になる人も多いことだろう。尿酸結晶による細胞障害の抑制に関わり、細胞の恒常性を担うオートファジーについてご説明しよう。