石油業界大物が「苦言」のワケ
国際エネルギー機関(IEA)は5月12日に、「ウクライナ侵攻の影響によるロシアの減産で世界的に石油が不足することはない」との見方を示した。ロシアの供給混乱が生じているが、中東産油国と米国による生産量が徐々に増えている上、需要の伸びが鈍化しているため、深刻な供給不足は回避されるというのがその理由だ。
これに対して、米国のガソリン価格の先高感は高まるばかりだ。
米石油・ガス協会のスチュワート会長は「過去50年間で最悪のエネルギー危機が発生しているのにもかかわらず、バイデン政権にはこの状況を解決するための戦略がない」との不満をぶちまけている。
どういう意味だろうか。

「化石燃料からの移行」を公約に掲げるバイデン政権は、国内の石油生産活動を制約する政策を相次いで打ち出していることから、石油企業との関係がギクシャクしているという事情がある。
原油価格の高騰のおかげで石油企業は記録的な利益を上げているにもかかわらず、石油各社に増産を強く迫れないというジレンマも生じている。