積極的にかかわってくれるサポーターを育てる

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国立公園の豊かな自然は、観光地という機能以外の役割も果たすはずだと鈴木さん。たとえば自然環境のデータバンクとしての国立公園。

「アメリカは国立公園でのモニタリングにも積極的です。国立公園内の生物多様性や、気象データなどを積極的に集積し、種の多様性や大気汚染のバックグラウンドデータなどとして提供しています。豊かな自然が残る国立公園と都市部の大気のようすを比較すれば、汚染の状況などは明確に見えてくる。アメリカ全土の環境の変化を知るのに役立つデータバンクとしても機能しているんです。そういう部分は日本はまだ弱く、今後強化していってもいいところだと思います」

鈴木さんは、ロングトレイル(長距離自然歩道)の可能性に期待しているという。国立公園の多くは都市部から離れており、いま、日本の国立公園に全国からボランティアが集まるかというと、難しいかもしれない。だが、トレイルは国立公園とボランティアの居住地とをつないでくれる。

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「アメリカのロングトレイルには、トレイルエンジェルという人たちがいて、トレイルを歩く人のためにクーラーボックスに冷えた飲み物を入れて置いてくれたりします。彼らにとっては、ハイカーをサポートすることがライフスタイルの一部なんです。トレイルを直すのもボランティアです。日常の暮らしと特別な場である国立公園をつなぐ存在として、ロングトレイルをもっと見直してもいいかもしれません」

とはいえ、一般の人にとっては国立公園内の登山道整備をしたいといっても、もちろん勝手にはできないし、その許可を取るのも難しい。

「そのあたりをもっとオープンにして、気軽にボランティアができるような環境を整えていけたらいいですね。アメリカの国立公園では、ボランティアがトレイルを調査したり、整備するといったことが当然のことのように行われています。興味がある人がもっと参加しやすくなるような仕組みがあるといいですね。そういうボランティアに参加してくれた人は、国立公園が自分ごとになりますから、強力なフォロワーになってくれると思うんです。アメリカの国立公園はこれから社会を担っていく若い世代に、そうした機会を提供することに力を入れています。国立公園を一緒に盛り上げてくれる人を増やしていくことが大切なのではないでしょうか」

日本の国立公園は人員が足りないからこそ、積極性のあるボランティアの人と、いい協力関係を築くべきと鈴木さんは考える。自然が好きな人、利用する人、地元の人、みんなで盛り上げていく。難しい立場を逆に利用して、助けてもらう。

「アメリカだとわりとふつうのことなんですが、国民が直接、自分の興味のあることを支援できることがボランティアの醍醐味だと思うんです。ボランティアは社会への働きかけでもあります。納税や投票とは異なる、市民の社会貢献や自己実現のツールといえると思います。国立公園は、そのツールとしては大変優れている。自然を守るということは、誰に対しても胸を張って誇れることですから」

いまアクションを起こしていけば、日本の国立公園はさらによくなる。利用者や公園内に暮らす人々も自分ごととして積極的に参加する。そんな日本独自の国立公園の姿が、明るい未来をつくっていく。