周産期医療漫画『コウノドリ』の取材協力もしていた新生児科医の今西洋介医師。ドラマで大森南朋さんが演じた新生児科医「今橋貴之」のモデルになったのが今西さんです。

小児科に属する新生児科。赤ちゃんから思春期という守備範囲が広い小児科ですが、その中で新生児科は、赤ちゃんを診る科でもあります。今西さんが医師として向き合うことが多いのは、妊娠中から何かしらの疾患を抱え生まれてきた赤ちゃんや、分娩中のトラブルなど、さまざまな事情で治療が必要な赤ちゃんです。
前回は、出産=安全であるという誤解について、リアルな現場の実態を寄稿。今回は、その続編ともいえる、あまり語られることがない「赤ちゃんの看取り」について寄稿いただきました。
以下より、今西さんの原稿です。
語られない「赤ちゃんの看取り」
小児科医は子供の健康を守る存在です。その中でも赤ちゃんを専門にする小児科医、それが我々新生児科医です。
新生児集中治療室(NICU)で多くの赤ちゃんを診療していると、当然ですが多くの「小さな命」に出会います。私は新生児科医という仕事をして15年、色んな命を見つめてきました。そして、多くの赤ちゃんを看取ってきました。年間に両手の指に収まらない数の赤ちゃんを看取った年もあります。
この仕事をする中で、自分の価値観の中で大きく変わったのは「死生観」です。自分はもちろん妻や3人いる娘たちや友人はいつ死ぬか分からない、死は突然やってくる。家族と送ってる日常生活の中で、このバイバイが家族との最後の挨拶になるかも知れない。実はそう思って日常を生きています。
では、赤ちゃんの命を見つめるとは、どういう事でしょうか。
今回は新生児医療に関する倫理的問題を非医療従事者であるみなさんにお話させて頂きます。