安全な「債券」に投資したはずが…遺産6億円の半分をあっさり失った「富裕層未亡人」の悲劇
筆者は17年間にわたり富裕層に対して資産形成のアドバイスを行ってきた経験から、あらゆる富裕層の投資の成功と失敗を見てきた。
今回はそんな私がお会いした中でも、投資に失敗した富裕層未亡人の事例を紹介する。失敗例から学び、同じ轍を踏まないようにすることが本記事の趣旨である。
相続でお世話になった証券会社だったから
今回の主人公である60代の女性とはお客様のご紹介でお会いした。資産運用で悩んでいるから相談に乗ってほしいという趣旨での紹介で、実際にお会いして詳しく経緯を聞くことになった。
事の発端は旦那さまの急逝だった。60代と若くして亡くなった旦那さまは、経営していた会社を売却して10億円以上の資産がある富裕層だった。
資産の半分は子供が相続したが、半分の約6億円は女性が相続することとなった。いわゆる富裕層未亡人となったわけだ。

これまで資産運用は旦那さまに任せきりだった女性は戸惑った。いきなりこんな大金を手にしては困惑するのも当然だろう。
そんなとき、生前に旦那さまと取引があり、相続の手続きでお世話になった証券会社の担当者から提案があったという。
「旦那さまから相続した大事な資産。債券を中心に安心安全に運用しましょう」
女性は安心した。この人なら旦那さまが残してくれた資産を任せても大丈夫だろうと。相続した資産の大半を証券会社に預け、運用がスタートした。